中国国防7大学、日本の大学は毎年100人以上受け入れ 長尾議員「スパイ防止法の必要性高まる」

2020/08/06
更新: 2020/08/06

自民党の長尾敬衆議院議員(大阪14区)は、スパイ活動や輸出規制違反に関与している中国軍傘下の7つの大学、「国防七大学」について警鐘を鳴らしている。日本の現行法では、中国への日本の機密技術の流出問題を調査し管理する仕組みがない。こうした背景を受けて、長尾氏は8月5日、大紀元の取材に対して、スパイ防止法の必要性が高まっていると述べた。

長尾氏は最近、中国軍傘下の中国の7大学である北京航空航天大学、北京理工大学、ハルビン工業大学、ハルビン工程大学、南京航空航天大学、南京理工大学、西北工業大学と交流協定を結び、留学生を受け入れている日本の国公私立大学の調査を文部科学省に依頼した。その結果、総計で2015年に210人、2016年は245人、2017年には172人を受け入れていることが明らかになった。

中国共産党体制は軍民一体となって技術開発を推進する「軍民融合」政策を実践している。当局は民間、学術、研究の各機関を含めて、あらゆる技術は軍事産業に提供することが要求されている。

7月30日、米スタンフォード大学のシンクタンク・フーバー研究所は、米国の115の大学や政府出資の研究所が中国軍と密接な関係を持っていると指摘する報告書を発表した。このなかで、国防7大学の研究者は、米国大学との共同研究を行い、研究成果である武器計画開発の情報を党に渡すなどしていたという。

長尾氏によれば、2013年から経済産業省は文部科学省と連絡を取り、中国国防7大学うち3校を指摘し、機密情報の取り扱いには警戒するよう促しているという。このため、「省には警戒の意識はあるだろうが、情報流出の管理監督の仕組みがない状況だ」と問題点を語った。「7大学を通じた経済安全保障、軍事的な安全保障の流出の可能性が疑われる。日本の関係当局に危機感を持ってもらう」とした。

米国では、外国代理人登録法やビザ詐欺などで、機密情報に接触を試みた中国機関や留学生の逮捕にこぎつけた。日本はどんな関連法律で彼らを調査できるのか。この質問に対して、長尾氏は、「現状では(関連法律がなく)できない。ただ、今回は安全保障に関わること、軍部に所属する大学との関係を見直そうとする動きがある」

長尾氏は、「留学生による入学希望の申請書の用紙も見せてもらった。しかし、そこに嘘を書かれてしまえば、スパイ防止法がないため、その後の情報調査も不可能だ」とした。

フーバー研究所の報告では、外国の学術界と中国軍との間に、このような緊密で幅広い協力関係が構築されていることは、国家安全保障を大きく脅かしていると述べた。「もし(米中の)武力衝突が発生すれば、この学術移転は米軍の優位性を侵食または弱体化させ、致命的な結果をもたらす可能性がある。そのため、国家安全保障上から見れば、この脅威は非常に深刻だ」

こうした背景の中、「日本でスパイ防止法が必要だと、声を高める時期が来ている」と長尾氏は述べた。「国防7大学との関係で、もっとも懸念すべきは技術流出だ。それが平和的利用ではなく、軍事的利用になるとすれば、シャットダウンしなければならない。日本の大学は軍事技術開発には利用しないといっている。しかし、外国からの留学生が技術を盗み自国に持ち帰り、軍事技術として利用されてしまえば日本の危機につながる」

(取材・張本真 文・佐渡道世)

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