不満を言うことをやめれば 幸運がやってくる

日常生活の中で、不満ばかりを言う人が周りにいませんか?親や仕事、友人に対して不満がある人、何事にもクレームを付ける人、ましてや雨が降っただけで文句を言う人。不満は最もネガティブな感情の一つで、その人は常に「暗闇」に包まれます。自分自身が不健康な状態に陥るだけでなく、周りの人たちも遠ざかっていきます。

アメリカの牧師ウィル・ボウエンさん(Will Bowen)さんは自著「もう、不満は言わない」(Complaint Free World)の中で、このように語りました 。「長年、不満を言っている人は最終的に周りから放逐され、完全に孤立してしまうこともあり得えます。なぜならば、周囲の人は、常に不満を言う人が、自分たちのエネルギーを吸い取って、枯らしていることに気づくからです」。不満とは毒薬のようなものです。あなたの意志を打ち砕き、声望を貶め、心身を疲弊させ、情熱を消耗させます。運命に不満を抱くのではなく、運命を変えるべきです。生活に不満を抱くよりも、生活を改善するべきです。

昔の人は、「相は心から生じる」と言いました。この「相」は 「相貌」(顔つき)のことだけを指しているのではなく、自分の周囲の環境も含めます。いつも悲観的で、マイナス的な考えに満たされている時、周囲の環境はそれに応じて負の要素が重なり、揉め事や災難などのトラブルが続きます。一方、もし心の中がいつも喜びに溢れていて、ポジティブな考えを持っていると、周りの環境もそれにつれて、よくなっていきます。「もう、不満は言わない」の中に、文句を言うのをやめて、自分の運命を変えた人の話があります。

ある作家は、出張の際に、偶然にも一台の非常に特色のあるタクシーに乗りました。運転手は身だしなみがとても良く、車内もたいへん清潔でした。 作家が座席に座ると、運転手から精巧なカードを渡されました。カードには「友好的な雰囲気で、お客様を最も素早く、最も安全、最も安い料金で目的地までお送り致します」と書いてありました。

 運転手が「何かお飲みになりますか?」と聞いてきたので、作家は「この車は飲み物まで提供するのか?」とびっくりしながら聞きました。

運転手は微笑みながら、「そうですよ。コーヒーだけでなく、他にも様々な飲み物がございます。そして色々な新聞も用意しています」と答えました。「ではホットコーヒーを一杯…」と、作家が言うと、運転手は落ち着きのある手つきで、そばの魔法瓶から一杯のコーヒーを注ぎ、作家に渡しました。それから一枚のカードを作家に見せました。そのカードには各種の新聞やテレビ番組の一覧が載っていました。

他にも、この運転手は、車内の温度は適温かどうか、目的地までもっと近い道のりがあるがそっちを進むかどうかなどを親切に尋ね、作家は運転手の心遣いと温かさを感じました。

運転手は、こう語りました。「実を言うと、最初の頃、私はこのようなサービスを提供していませんでした。他の人と同じように、口から出るのは不満ばかり。最悪な天気や僅かな収入、ひどい交通渋滞など、毎日の生活は思うようにいかないことばかり。ある日、私は偶然ラジオ放送で一つのストーリーを聞き、自分の考え方をガラリと変えました。そのラジオ番組はウエイン・ダイアー博士をゲストに迎え、博士に新しい書籍の紹介をお願いしたのです。私は未だにその本の名前を覚えています。それは、『小さな自分で一生を終わるな!』です」

「この本は、不満を言うのをやめれば、誰でも成功の道を歩める、ということがテーマでした。それによって私は突然悟ったのです。現在の私の悪い状況は実際、すべて自分の言った不満がもたらしたのです。そこで、私は不満を言うことをやめ、自分を変えることを決心しました」

「最初の一年、私はただ微笑みを浮かべて全てのお客さんに対応をしただけで、収入が倍になりました。二年目に入ると、私は心の底から全てのお客さんの喜怒哀楽を理解し、気遣いました。そして彼らが安心し、リラックスできるよう努めた結果、収入がまたしても倍増しました。三年目、つまり今年、私は自分のタクシーを全米でも屈指の五つ星の車に変えました。収入だけでなく、私の人気も上昇しました。今では、私の車に乗る場合、通常は事前に私に電話で予約を入れなければならないのです。お客様は、偶然私の車に乗ってくださったのです」

運転手の話に共感した作家は、自分自身の行為を反省しました。考えてみれば、日常生活の中で、自分はいつも不満を言っていたではないか。この事を通して、作家も自分を変えることを決意し、さらにこの運転手のストーリーを一冊の本に書くことにしたのです。

(翻訳編集・林檎)