ロボット殺人事件発生 独工場

7月1日、ドイツ・フォルクスワーゲンの製造工場ロボット殺人事件が発生、21歳の従業員が死亡した。従業員は生産ラインの作業用ロボットを設置していた最中、異常作動したロボットに掴まれ、鉄板に押し付けられた。胸を強く圧迫され、病院に搬送されたが間もなく死亡した。英フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。

ロボットが引き起こした死亡事故は、今回が初めてではない。1978年9月6日、広島のある工場で鋼板切断ロボットが突然異常作動し、一人の従業員を鋼板とみなして切断した。これが世界最初のロボット殺人事件である。1979年1月25日には、米フォード工場の生産ラインで事故が発生。ミシガン州のフォード鋳造工場で組み立て従業をしていたロバート・ウィリアムズ(25)さんが、工業ロボットのアームに打たれて死亡した。更に1981年7月4日、川崎重工業株式会社明石工場でも事故発生。修理作業中の従業員がうっかりスタートボタンを押してしまい、歯車加工用のロボットがこの従業員を歯車として掴んでしまうという、悲惨な事態となった。

工業用の大型ロボットはフェンスで囲まれたスペースで作業をするのが一般的で、周りにいる人間に接触しないよう配慮されている。しかし今回のドイツの事故では、従業員がフェンスの中で作業をしており、安全が確保された状況ではなかった。フォルクスワーゲン社は事故に関して、「ロボットに技術的な故障は存在しない」と発表した。現在、調査員による事故原因の究明がなされている。

欧州と米国では、製造業における事故発生率は全労働災害の平均値より低い。しかも、ロボット使用率の上昇に伴う事故率は下がる傾向にある。米政府の公表したデータによると、2013年、米国の製造業では10万人のフルタイム従業員に対し、死亡事故は2.1件で、06年の2.7件から0.6件減少している。しかし一方で、日々発達しているロボットによる危険性を指摘する科学者も少なくないのが現状である。

(翻訳編集・那智)