科学の常識を超えた人たち

科学技術の発展により、人間の生命に関する様々な事象が判明しました。一方、科学では説明のつかない、不可思議な能力を持つ人たちもいます。人々が考える「常識」を超えた、超人的な人たちを紹介します。

 極寒に挑戦する「氷男

「氷男」と呼ばれるオランダ人の冒険家ヴィム・ホフさん(55)。彼は、氷を敷き詰めたボックスの中に1時間52分42秒もの間浸かり続け、ギネス世界記録に登録された。彼は今年1月、18人の弟子を率いて、パンツ1枚でキリマンジャロの登頂に成功した。標高5895メートルの雪山を、裸同然の格好で31時間25分かけて登ったのだ。ヴィムさんは特殊な訓練の末、自分で自分の体温を制御できるようになったという。

 「音」で世界を見る男 

  「音」で世界を見るダニエル・キッシュさん

米カリフォルニア州在住の男性、ダニエル・キッシュさん(49)は、「網膜芽細胞腫」という悪性腫瘍をもって生まれ、生後13カ月で眼球を摘出した。しかし現在の彼は自転車に乗り、一人でトレッキングに行き、料理もこなす。ダニエルさんはどうやって身の回りの物事を認識しているのだろうか? 

実は、ダニエルさんは2歳ごろから自然に習得したという「エコーロケーション(echolocation)」と呼ばれるテクニックによって、視界を補っている。「エコーロケーション」とは、舌先で「チ、チ、チ」という鋭い音を鳴らし、その反響音を聞いて周囲の状況を把握する手法で、船舶が水中の物体を探知する「ソナー」と同じ仕組みである。彼はこのテクニックで視覚を補い、不自由なく日常生活を送っているのだ。更に、「反響音から周囲の三次元イメージまで得ている」とダニエルさんは話す。

人間計算機

アレクシス・ルメールさん

アレクシス・ルメールさん(35)は、フランス在住のコンピュータ学者。暗算チャンピオンでもあるルメールさんは、100桁の数の十三乗根と200桁の数の十三乗根の暗算において世界記録を保持している。02年5月10日、100桁の数の十三乗根を13.55秒で計算し、その後は200桁の暗算に挑戦し始めた。困難な作業を遂行するため、彼は脳を日々鍛え続け、05年4月6日に200桁の数の十三乗根を8分33秒で暗算した。07年7月30日にはそのタイムを77.99秒まで、11月15日には72.4秒まで短縮した。更に12月10日には、70.2秒でランダムな200桁の数の十三乗根を暗算によって求めた。

暗算方法について、ルメールさんはこう説明する。「コンピュータの代わりに、自分の頭の中にある人工知能システムを使っています。大半の人が私と同じことができると思いますが、私の人工知能はとても高速で、異常に速く動く時もあります。暗算している時は脳が猛スピードで動くため、後で薬を飲まなければならないこともあります。ここまで速く動く脳がなくても大きな数字の暗算は可能ですが、私ほど容易にはできないでしょう」

 驚異の映像記憶力

イギリスの建築画家、スティーブン・ウィルシャーさん(41) は、一度見ただけで風景を目に焼きつける「映像記憶能力」があることで知られている。幼い頃は発音障害を持つ無口な子どもで、3歳の時に自閉症と診断された。しかし、8歳の時、想像力を働かせて地震が起こった後の街の風景を描いたという。

ウィルシャーさんは一度見たものは細部まで正確に描くことができる。05年には、東京を俯瞰した記憶をもとに10メートルに及ぶパノラマ画を描いた。これは過去最大の作品で、ヘリコプターで東京上空を飛行した直後に描かれたものである。11年には記憶をもとに、76メートルのパノラマでニューヨークを描いた。06年に大英帝国勲章を受け、09年からイギリスの「チルドレンズ・アート・デイ」大使として活動するとともに、11年には建築イラストレーター協会の名誉会員になっている。

スティーブン・ウィルシャーさん

(翻訳編集・東方)