【医学古今】突発性難聴の鍼灸治療

2015/09/16 07:00

 難聴や耳鳴りは、症状が慢性化すると治療が難しくなります。しかし、発症後早い段階で適切な治療を施せば改善する場合が多く、鍼灸療法でも治療効果が実証されています。鍼灸の古典を調べてみると、耳鳴りや難聴には多数のツボで治療を施していたようですが、突発性難聴には特に重要なツボが提示されています。それは四瀆(しとく)というツボです。

 四瀆は前腕部の外側、橈骨(とうこつ)と尺骨の間にあります。一見、耳とはあまり関係が無いような位置だと思われるかもしれませんが、経絡の走行という面から見ると、耳と四瀆は手の少陽三焦経によって繋がっているのです。このツボは、情緒の不調をもたらす気の乱れや過労によって起きた突発的な難聴に効果があると古典に記録されています。突発性難聴には耳鳴りを伴う症例が多いので、耳鳴りと難聴、いずれにも効く関衝(かんしょう)、液門(えきもん)、翳風(えふう)、会宗(かいそう)、下関(かかん)、聴宮(ちょうきゅう)などのツボを併せて取穴します。

 最近、こういった古人の経験を参考にして一例の突発性難聴を治療したところ、かなり良い効果が得られました。私個人の経験からも、発症後なるべく早いうちに鍼灸治療を受けた方がより効果を得られやすいと言えます。しかし、鍼灸治療を熟知している人でない限り、このような症例の初期に鍼灸治療を求めて来られる患者さんはほとんどいないのが現状です。

(漢方医師・甄 立学)

 

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