中国版QE 紙幣増刷の口実か 「サブプライム危機と同じだ」と危惧の声

2015年10月22日 19時17分

 中国人民銀行(中央銀行)は10月10日、「貸付担保再融資制度」(信用貸付資産の再担保制度)の試験的実施エリアを、これまで実施してきた山東省、広東省の2省から、さらに上海市、天津市、北京市、重慶市、遼寧省、江蘇省、湖北省、四川省、陜西省、の4の直轄市と5の省を追加し、拡大すると発表した。市場関係者は、この措置は約7兆元(約131兆円)の流動性拡大につながり、中国版の量的緩和(QE)とみている。

 「貸付担保再融資制度」とは、商業銀行が貸出資産を担保に人民銀行から資金を借り入れることができるもの。例えば、A商業銀行がB企業(あるいはB地方政府)に100万元を貸し出した場合、B企業への貸出が人民銀行の制定した資産審査規定に合えば、A商業銀行がB企業との間の貸借契約書を担保に、人民銀行から莫大な資金を借り入れることができる。

 15日付国内紙・新京報によると、人民銀行研究局の馬駿・チーフエコノミストは「貸付担保再融資制度の試験的実施エリアの拡大は、流動性の総量に大きな影響を与えるものではない」と主張し、中国版QEであることを否定した。同行が、この制度の実施拡大で7兆元が供給されると明かしたのは初めて。

 金融コラムニスト「人民銀行が紙幣を大量に印刷し、財政支出を増やしているだけ」

 しかし、多くの関係者は、中国人民銀行の「貸付担保再融資制度」は中国版QEに他ならないとみている。香港紙「明報」の金融経済コラムニストの江宋仁氏は16日付同紙で、このたびの人民銀行の措置がQEか否で専門家は議論しているが、それは視点と角度が違うだけに過ぎないと指摘。

 江氏は「欧州や米国、日本の中央銀行が実施してきたQEと比べ、中国のQEはより極端で過激的だ。米国などの中央銀行のQEは、主に公開市場操作で各金融機関から国債や証券などを買うことで資金を供給し、市中の流動性を増やし、金利を低下する。一方、人民銀行のQEは、直接、市中の銀行に資金を供給する。それらの銀行は、また入手した資金を実体経済に投じる。事実上、人民銀行が紙幣を大量に印刷し、財政支出を増やしているだけ」と述べた。

 また、国内独立経済金融評論家の呉裕彬氏は「これまで人民銀行は、頻繁に利下げや預金準備率の引き下げを行ってきた。しかし30%前後の民間融資コストを下げることができなかった。そのため、仕方なくこの極端な方法で、実体経済における深刻な問題を解決しようとしたのではないか」と分析。11日付け鳳凰財経が報じた。

 商業銀行の不良債権増加 金融リスクを防ぐねらいか

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