「八観六験」人の品格を見極める古人の知恵

2015/10/30 07:00

 デジタル時代を生きる人類は多くをコンピューターに頼り、物事を数字で判断するようになりました。その依存度は、コンピューター占いによって自分の運命まで機械任せにする人も現れるほど。しかし、自身の品格を高め、他人の品格を見極めるには、自らの経験や見識に頼るしかありません。人を見る目があるか否かは個人の能力の問題ですが、「人を見極める方法」を知っているかどうかも重要です。その方法の一つに、中国の戦国時代に編集された『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』に記されている「八観六験(はちかんろくけん)」というものがあります。「八観六験」とは、人間を八つの面から観察し、六種の方法で試し、その品格を見極める方法です。

「八観」

1、「通則観其所礼」 出世した人に対しては、その礼儀正しさを見ると良いでしょう。いつも謙虚でマナーの良い人もいれば、出世したことで傲慢になり、礼儀やマナーを無視する人もいます。礼儀正しいかどうか、ここに人間の品格が現れます。

2、「貴則観其所進」 地位の高い人に対しては、その人が使っているものや、そばにいる人を見ると良いでしょう。「類は友を呼ぶ」と言われるように、周りを見ればその人の好みや人格が垣間見えます。

3、「富則観其所養」 お金持ちの人に対しては、お金の使い方を見ると良いでしょう。貧しい時は生活に追われて自分の欲を満たすことにまで手が回りませんが、お金に余裕ができた時にそのお金を何に使うか、ここに人間の本性が現れます。お金の使い方を見ると、その人の人生観や倫理観まで分かるのです。

4、「聴則観其所行」 人の言動をよく観察しましょう。発言と行動が一致しているかどうかで、その人が誠実か否か分かります。

5、「止則観其所好」 余暇の過ごし方を見ると、その人の人生観の側面が見えてきます。職場などの公式の場での振る舞いよりも、休日や余暇の過ごし方にこそ本質的な価値観が現れやすいのです。

6、「習則観其所言」 親しい人と気楽な雰囲気の中で交わした言葉は、人の本心を反映しやすいものです。そういう場での発言こそ、注意して観察すべきです。

7、「窮則観其所不受」 生活に困っていても、受けてはいけない援助や利益があります。受けるべきではない援助や利益を受けているか否か、そこにも人の品格が現れます。

8、「賤則観其所不為」 地位が低く、弱い立場に置かれた人でも、自分の利益や出世のためにやってはいけないことがあります。やるべきではないことを控えられるか否かで、真に志があるかどうかが分かります。

「六験」

1、「喜之以験其守」 得意になっている時に、その人が自我を失うかどうかを試します。得意になっている時も失意の時も自我を失わず、自身をしっかり制御できる人はぶれない人です。

2、「楽之以験其僻」 喜んでいる時に、悪い癖が現れるかどうかを試します。喜びの最中に現れる悪い癖は、時に悪事の種となり得るからです。

3、「怒之以験其節」 怒った時に、自制力が失われるかどうかを試します。人は怒ると感情的になりやすく、理性を失った人は償えない程の重大な過失を引き起こすことがあるからです。

4、「懼之以験其持」 恐れている時に、信念を堅持できるかどうかを試します。命が脅されても信念を失わない人こそ、真に信念を持っていると言えるからです。

5、「哀之以験其人」 悲しみに暮れる時に、品格の変化があるかどうかを試します。

6、「苦之以験其志」 苦しみの中にいる時に、その人が志を失うかどうかを試します。

(啓明)

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