習政権の中央経済工作会議が閉幕、積極的財政を強化 2年ぶり不動産市場に言及

2015/12/22
更新: 2015/12/22

中国共産党・政府が2016年の経済運営方針を決定する中央経済工作会議が12月18~21日に開催された。21日国営新華社が中国の不動産市場、人民元、財政、国有企業などに関する政策などを含む会議での決定事項を報じた。

報道によると、当局は国内経済情勢について「多くの困難に直面している、特に構造的生産能力の過剰が深刻だ」と指摘し、2016年の主な目標は「生産能力過剰の削減、不動産在庫の消化、金融リスクを防ぐ、有効な供給を拡大する、企業のコストを低下させる」との5項目を設定した。また、「積極的な財政政策を強化し、(企業への)減税政策を実行し、段階的に財政赤字比率を引き上げる」とした。景気の下支えを目的に、財政刺激策の一段強化を示唆した。

中国2016年経済運営方針では、約2年ぶりに不動産業界について言及した。公表された決定事項では、不動産市場の安定化を図るため業界に対して不動産在庫の解消を求め、「時代遅れで制約的な措置を撤廃せよ」と明記した。不動産市場が低迷する中小都市において、戸籍改革と伴い、出稼ぎ農民工の都市への定住を促した。不動産企業に対して、ある程度の調整で住宅価格を下げるなどを提案した。

また、対ドルの人民元為替レートについて「レートの形成メカニズムを最善にする」とした。中国当局は米国が利上げ実施に踏み切ったばかりでドル高傾向が続く中、ドルペッグ制で人民元がドル高に連動して、ユーロや英ポンドに対して高くなることを避けたい狙いだ。今後当局のドルペッグ制を見直し、対通貨バスケットに移行する意向が示された。

金融政策において「一段と柔軟にする」とし、「流動性の合理的かつ充分であることを保つこと、社会の融資総量が適切に増長すること」を明確な方針として出した。当局は来年に引き続き緩和的金融政策を採り、利下げや預金準備率の引き下げが予測される。

さらに、今回の経済工作会議において当局は来年、国有企業改革、財税改革、金融改革と社会保障改革を一段と強化することを示した。

大紀元の時事経済評論員・謝天奇氏は「国有企業、財税、金融(銀行業を含む)への改革は、現在当局が金融業界において行っている反腐敗キャンペーンと密接に関係している。その背景には江沢民派閥との権力闘争が関わっている。習近平の来年の政策の中心は江派閥から経済の掌握権を奪い戻すことだと読み取れる。また、社会保障改革と不動産在庫の消化、都市化、戸籍制度改革は互いに制約している。中国国内の経済や社会危機を乗り越えるには、これらの政策や措置を同時に実行する必要がある。これらの問題は現在中国共産党の官僚体制と政府機関の利益と変革に関わっているだけでなく、中国国民、特に農民の利益と生活スタイルに深く関わる」と指摘した。

また、「現在これらの業界に対して具体的にどのような改革措置があるのかは不明だが、習近平政権が目標を実現していく中、中国共産党の官僚体制、中国社会基層の現状に触れるに違いない。その深さ、広さおよび政治的経済的な敏感さから、中国に大きな変局をもたらす」とコメントをした。

12月17日北京時間早朝の米国FRBの利上げ実施発表後、国営メディア「人民日報」は『発展全局に関わる重大な変革』との評論記事を発表し、中央経済工作会議が18日から北京で開催されることを発表した。同評論記事において、「転換および昇級の歴史的重要時期」、「歴史的転換」、「歴史的転換の重要な交差点に差し掛かった」と繰り返した。

「歴史的転換など敏感な単語を用いたことは、一般的な経済工作会議で提起される経済と改革の範疇からかけ離れている。習政権が体制内の高層部に対して、近く経済および政治的重要な変革措置を打ち出し、実施されることを警告しているとみられる。この過程は金融業界での反腐敗キャンペーン、江沢民派閥への清算と並行するだろう。中国経済の秩序が立て直されることで、政治体制領域の変革をもたらすことを目的とするものだ」と謝氏は分析。

(翻訳編集・張哲)

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