THE EPOCH TIMES
中国伝統文化百景(13)

「八卦」の思想的根源と伏羲の中国文化への貢献

2016年01月20日 07時00分

1、「八卦」の基本形態とその思想的根源

 「易」という応用的な学問(哲学思想)の原理、その存在との関係および「八卦」の実用性について、『易経』繋辞伝上ではこう記されている。「宇宙が成り立つ初めに、天は尊く、地は卑く位置して、「乾・坤」という『易』の根本が定まった」ここでは「八卦」の成立を天地の創始に基礎づけているのである。また、「『易』には太極が有る。これが「両儀」を生み出す。「両儀」は「四象」を生み出す。「四象」は「八卦」を生み出す。「八卦」によって物事の「吉・凶」が定まる。「吉・凶」が大業を生み出すのである。」と記す。

 『易経』繋辞伝上では、「太極」→「両翼」→「四象」→「八卦」という生成関係が記されているが、伏羲が画いた「八卦」は「太極」、「両翼」、「四象」から生まれたからには、前の諸要素と切っても切れない関係があるはずである。それらの関係を概括してみる。

 『易』の論理によれば、「太極」ができた後、「両儀」すなわち「陰・陽」という相互対立する要素が自ずと生まれたとされる。概略的に言えば、「陽」は正義的、積極的、男性的なプラス要素を代表し、「陰」は邪悪的、消極的、女性的なマイナス要素を代表している。そういった基本的な性質からまた、自然界、人間界、物事の性質、方位、行動など、ありとあらゆる事象に適用することができるのである。

 しかし、「陰・陽」だけをもっては、宇宙、自然、人間、事物などの森羅万象を十全に把握することはできない。それで、「両儀」である「陰・陽」はさらに「老陽」、「少陽」、「少陰」、「老陰」の四つに分けられ、より具体的な事象を観察、説明することができるようになる。それは「太極陰陽の図」の中にも反映されている。

 『易』は、記号「╍」をもって「陰」を表し、「═」をもって「陽」を表しているが、この対立した2要素をそれぞれ「四象」の「老陽」、「少陽」、「少陰」、「老陰」に加えると、8種類の「象」すなわち、☰(乾)☱(兌)☲(離)☳(震)☴(巽)☵(坎)☶(艮)☷(坤)が形成されるが、これがいわゆる「八卦」なのである。

 この8つの「象」(概念)があれば、天、地、人の森羅万象を概観することができるのみならず、それらをより詳細的、具体的に解釈し予測することもできるようになるのである。「八卦」は、中国文化・思想の中できわめて重要であり、中国文化・思想を抽象的な形而上学から具体的な形而下学へと具現化させ、かつそれを一段と昇華させた史的な進歩なのである。

 このように、「八卦」は上を受けつつ下を起こすような中堅的、実用的なものとなり、下記の図に示すように、それは天人合一や道などの中国文化・思想と完全に一体化し、それらをもっとも代表できる形象化した文化表象(記号)を成し遂げたと言えよう。

 前記の『易経』繋辞伝上では「無極」が言及されていないが、道学は「太極」の先にまた「無極」があるとした。もし、「太極」を陰陽もなく、混沌、根元、時間的・空間的な「無」であるとすれば、その「無極」は「太極」を生んだよりマクロ・ミクロ的な「無」の「無」となり、より基本的、根本的、原始的なものであると言わざるをえない。言い換えれば、「無極」こそが万物を創成したより原始的な要素なのである。

  「八卦」と中国思想・天地人との関係図

  無極➡太極➡両儀(陰・陽)➡四象(老陽・少陰・少陽・老陽)➡八卦(乾・兌・離・震・翼・坎・艮・坤)➡易経(六十四卦)⇔ 天地人・自然万物

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