地球の深層部に大海か

未知の世界を示したダイヤ

繰り返し聞かされている科学的理論は、「理論」に過ぎず事実ではないことを忘れがちだ。「地核」という言葉を聞くと、地殻、上部マントル下部マントル、外核、内核を示した、高校の科学の教科書に見られる玉ねぎのような断面図を思い出す方もいることだろう。

人類が実際に探査したのは地表の13キロに過ぎず、地核までは6356キロの距離がある。ほぼ6343キロの部分は「理論」で埋められてきただけなのだ。

無論、これらの「理論」の背後には観測された地理的現象に基づく論拠がある。しかし、2014 年に、一般に考えられている地球とは異なる姿を描き出す典拠となる大きな発見があった。

含水リングウッダイト

米アルバータ大学グラハム・ペアソン教授は一つの安ダイヤの分析のため国際チームをリードした。実はこのダイヤ、金銭でははかりしれない価値があったのだ。

2008年、 ブラジルのマット・グロッソ州のジュイナ地区で熟練鉱夫が見つけたダイヤを、同チームが約20ドルで購入。茶色がかったダイヤに特定の鉱物がないかを探査していたとき、偶然にリングウッダイトと呼ばれる鉱物が混ざっていることを発見した。

リングウッダイトはこれまで隕石から発見されてきたもので、地上で発見されたのは初めてだった。このリングウッダイトは内部に水が閉じ込められていたため、特に重要なものとなった。地球の表層より約400〜560キロの上部マントルと下部マントルの境にあたる遷移帯で形成されたものだ。

つまり、地球の内部に海があることを示唆する。そして海水量は「世界の海洋の総量に相当するかもしれない」というペアソン教授の言葉がアルベルタ大学のニュースリリースに引用されている。

 

 

 

 

このダイヤが、地球の深層の一部であるのなら、そこには巨大な海洋が存在することになる。まだ定かではないが、このリングウッダイトの発見は、 地球の内層の重要な要素が水であることを確証する大きなステップとなった。

プレートテクトニクス、火山の形成、地殻下での岩の移動など、基本的に地質学の全てに、この海洋が大きく影響していると考えられる。

ペアソン教授の発見は2014年3月にNature誌に発表された。 

地球空洞説?

この発見は、SFの父、ジュール・ヴェルヌが19世紀に著した『地底旅行』を思わせる。勇気ある科学者が地核への道を発見し、地球の深層で海洋、土地、知能のある生命を見つけていく。

「地球空洞説」は19世紀に人気を集め、その可能性を認める人々もいる。宇宙への探索が続けられているが、実は足元の地球も神秘に満ちている。

(記者・タラ・マクイザック/大紀元英語版  翻訳・鶴田ゆかり)