65歳の超高齢野鳥 昨年も産卵

ウィズドム(知恵の意)という愛称を持つコアホウドリ(小阿呆鳥、小信天翁)が、今年推定65歳になった。野鳥類の平均寿命は40歳、ウィズドムは超高齢になったと言える。この超高齢の野鳥が昨年11月、ミッドウェー島で産卵したことが確認された。

雌のコアホウドリのウィズドムは1956年、推定5歳の時に、抱卵中にアメリカ地質調査局の研究者により標識の足環を付けられた。通常コアホウドリの求愛行動には数年が費やされ、8~9歳がその適齢期となるため、抱卵中に足環を付けられたウィズドムの年齢は65歳を上回る可能性もある。

  コアホウドリは夏季にベーリング海やアラスカ湾、アリューシャン列島周辺に渡り、冬季になるとハワイ諸島、クラリオン島、ミッドウェー島で繁殖する。日本では小笠原諸島の聟島、聟島の属島の聟島鳥島、嫁島で繁殖が確認されている。

コアホウドリは1年に1個しか卵を産まない。孵化後、雄鳥と雌鳥は交代で約6カ月間幼鳥を世話する。非番の鳥は時に数百キロ離れた海からイカやトビウオ等の餌を取って来る。研究者の推定では、ウィズドムはこれまでに36羽の幼鳥を養育し、累積1千万キロ以上の距離を飛行しているという。これは地球と月の距離の15倍に相当する。

アメリカ合衆国魚類野生生物局の研究者であるクラーク(Dan Clark)さんの話によると、世界の海鳥の数は1950年代の約30%になっているという。この状況におけるウィズドムの存在は、人々に勇気と希望を与えている。

(翻訳編集・鳥越)