合掌造りの冬景色

2016/02/05 07:00

世界遺産になった集落

 富山県の五箇山と岐阜県の白川郷地方には小さな合掌造りの集落がある。文化遺産としての価値が高いことから、1995年12月9日にユネスコの世界遺産に登録された。合掌造りの建築がいつから受け継がれてきたのかは定かでないが、江戸末期には1,800棟近くの合掌家屋があったと言われ、数万人が暮らしていたと考えられている。現存する合掌造りは、五箇山に34棟、白川郷に114棟あり、その一部は民俗館や資料館等として一般公開されている。白川郷は世界遺産登録後、急激に観光客が増加し、平成20年には年間の観光客数が登録前の約3倍である150万人を突破した。

 山深い秘境の地に在るため、江戸時代から続く風景、田畑やあぜ道などの自然も、昔のまま残っている。これらの集落は、今も殆どが住宅であり、ここで暮らす人々の伝統や温もり等、全てが村人達の手で大切に受け継がれてきた。

合掌造り

 豪雪地帯の気候や生活に合わせて試行錯誤して作られた住居様式であり、高さ15m、5階建てのビルと同じ高さの建物もある。掌を合わせたような急勾配の大きな茅葺き屋根が「合掌」の由来。合掌造りの屋根は豪雪にも耐えられる強度を持っており、約45度から60度までの傾斜幅には少しでも雪が屋根から落ちるよう、また雪下ろしが楽にできるような工夫が施されている。広い屋根裏ではカイコ(蚕)を飼い、生糸(絹生糸)が人々の暮らしを支えてきた。

 家の中には必ず「いろり」があるのも特徴だ。煙には高い防腐・防虫効果があり、住居に使われている茅や縄が長持ちする秘訣が盛り込まれている。毎日焚いていた頃には、茅葺屋根は70年間持っていたという。合掌造りには、このような昔の人の優れた知恵が垣間見られる。約30年に一度、屋根の葺き替えを村の人々が総出で行う。こうした人々の絆が特徴ある合掌造りを守ってきた。ここで生活をされている方たちのためにもマナーを守って見学してほしい。

特別豪雪地帯の白川郷

 合掌造りの集落がある地域は、積雪2mから多いときには3mにもなる豪雪地帯である。冬になると分厚い雪が、家や畑辺り一帯を包み込み、一面が銀世界となる。1年の中で最も美しい季節と言えるかもしれない。頭から足の指先まで全身、芯まで凍えるような寒さだが、静けさの中で観る雪化粧をした白川郷はとても美しい。雪が降り続く中、合掌家屋の窓に明かりが灯り、茅葺屋根に積もった雪は、照明灯の光に白く照らし出される。幻想的な世界遺産のライトアップが訪れた人々を魅了する。

 

合掌造りライトアップ(Getty Images)
合掌造りライトアップ(Getty Images)

白川郷 第30回ライトアップ開催日程17:30〜19:30

平成28年1月16日(土)23日(土)24日(日)30日(土)31日(日)2月7日(日)14日(日)

アクセス 

鉄道利用:白川郷:JR高山本線高山駅より濃飛バスで約120分、白川郷下車。五箇山:JR城端線城端駅より加越能鉄道バスで約40分、五箇山下車

車利用:白川郷:東海北陸自動車道白川郷ICより約5分、又は荘川ICより約40分。五箇山:東海北陸自動車道五箇山ICより菅沼まで約2分「村営せせらぎ公園駐車場」が利用可能。

(文 まさ恵)

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