女ひとりで世界一周放浪記 3

キューバ 謎多い国のイメージと現実

2016/03/30 07:00

変遷の時代を迎えているキューバ

 世界一周2カ国目はキューバです。2月26日から3月3日までの約1週間の滞在でした。

 キューバと言えば、チェ・ゲバラや葉巻、音楽文化などが思い浮かびます。加えて、私にとってキューバ=社会主義国家で、「閉ざされた未知の国」というイメージがありました。「キューバ国民はインターネットが使えない」とか「海外旅行を禁止されている」など、キューバ国民には外界を知る術がないのだという噂を以前から聞いていました。しかし最近、そのキューバがアメリカとの国交正常化により大きく変わりつつあるのだという話も耳にしました。実際のところキューバの現状はどうなっているのか、自身の目で確かめたいという思いがありました。

コロニアル様式の古い建物が立ち並ぶ旧市街(著者提供)

 

 最初に訪れたのは首都ハバナ。世界遺産に登録されている旧市街には、スペイン植民地時代の面影が残るコロニアル様式の古い建物が立ち並んでおり、とても趣があります。街の至る所で色鮮やかなクラシックカーが走り、街全体は非常に排気ガス臭いです。クラシックカーは壊れているのではないかと思うほど古いものが多いですが、車1台購入するというのはキューバ国民にとって容易なことではないのでしょう。また雇用が少ないからでしょうか、真昼間なのに窓からぼーっと外を眺めたり、道端に座って歓談したりする人を老若男女、多数見かけました。一方でストリートチルドレンの姿は今回1人も見かけることがなく、諸外国に比べて比較的貧富の差が小さいことを感じました。

お洒落なキューバ人(著者提供)

 

 キューバ人の国民性についてですが、街歩きで通りすがったキューバ人の多くがこちらに笑いかけて「オラ(こんにちは)!」と挨拶をしてくれ、とても明るくて人懐こい印象です。また、彼らのファッションセンスは非常に富んでいて、黄色や赤などのビビットカラーを取り入れた服をお洒落に着こなしており感心しました。

人民ペソ払いの夕食100円 豚肉とライスとサラダ(著者提供)

 

 観光産業に力を入れているキューバには、観光客用の「クック」と、キューバ人用の「人民ペソ」、2つの貨幣があります。観光客は基本「クック」を使うことになりますが、民衆食堂などでは「人民ペソ」を使うことが可能です。「人民ペソ」が使える露店や民衆食堂での食事は非常に安く済ませることができます。日本円にしてアイスが12円、ピザが40円、ライス付きの鶏肉ご飯は150円ほどで食べることができました。またキューバにおける宿泊は、「カサ」という一般市民の家の1室に泊まるスタイルが一般的です。「カサ」は政府公認のサービスで、国の認可が下りた住民だけが営業をすることができます。ハバナでは1泊1人10クック(日本円にして約1120円、2016年3月現在)で泊まることができ、朝食も含まれていました。キューバ市民の日常生活を垣間見ることのできる良い機会にもなりました。

公園のフリーWi-Fiでスマートホンをネットにつなげる人々(著者提供)

 

 ハバナのとある公園に行くと大勢の人だかりがあり、皆スマートフォンを持ち操作していました。実はキューバでは現在、専用のカードを購入すれば1時間2ドルでインターネットを使用することができるのです。公園や高級ホテルの1階ロビーなどで無料でインターネットに接続できるため、大勢の人がその場所に集まっているというわけです。

 ハバナで現地の複数の女子高生たちと仲良くなり、一緒に街歩きをしました。彼女たちの中では今、韓国のポップミュージックが流行っているようでした。また彼女たちは日本の漫画やコスプレにも強い興味があるようで、その影響で日本語を勉強していると話していました。自分が想像していたよりもはるかに彼女たちは諸外国の情報を受信できる環境にあることを知り、とても驚きました。

トリニダードでのサルサ(著者提供)

 

 キューバには物が総じて少なく、「音楽」は彼らの生活にとって必要不可欠な娯楽といえます。街の至る所で音楽が流れていました。ハバナに数日滞在した後、トリニダードという街に移動しました。トリニダードは1日もあれば十分街全体の観光ができるほど、こじんまりとした可愛い街です。毎晩サルサミュージックが流れる場所があり、入場料1ドルを払えば誰でもダンスを踊ることができます。私も現地人の中に混じり、サルサダンスを堪能することができました。

 明るく陽気なキューバ人たちの生活は音楽に溢れ、のんびりゆったりとしていて、せわしない日本の生活と比較すると羨ましく感じるほどでした。しかしレストランで出会った1人のキューバ人男性が、「俺たちは今の生活に不満を持っている。今後キューバの生活が変わることを心から待ち望んでいる」と言っていたのが印象的でした。社会主義国家キューバにおける貧富の差は他国に比べるとそこまで大きくないものの、国全体の生活水準は依然として低いままです。

 ハバナからカンクンへの帰りのフライトにて、私の両サイドの席に座っていたのはキューバ人でした。キューバ人にとっての海外旅行は高額で制約なども多々あるようですが、海外旅行に行ける人の数は少しずつ増えてきているようです。

トリニダードの風景(著者提供)

 

 1週間という滞在期間は、キューバという国について知るにはあまりにも短すぎました。しかしその短い時間の中で感じたのは、「今キューバは間違いなく大きな変遷の時代を迎えている」ということです。今後益々インターネットが普及し、より多くのキューバ人が海外旅行に行くようになれば、さらに多くの情報がキューバ国内に入ってくることになります。ひと昔前のようなゆったりとした時間の流れるキューバ。私のような旅行者からすれば、「キューバの良さを失って欲しくない」という身勝手な思いを抱いてしてしまいます。しかし今、キューバ国民は生活の変化を求めています。キューバ政府にとって、その欲求を食い止めることはもはや困難なところまできていると思います。ハバナで出会った女子高生たちが、もっと気軽にショッピングを楽しんだり、海外旅行に容易に行ける時代になればいいなという思いが私の中に湧き始めたことも事実なのでした。

(田中美久)

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