漢方の知恵

体が喜ぶ旬野菜

立春が過ぎると、植物は開花に向けて成長する時期に入ります。人間の身体も同様に、春夏に向けて体内の新陳代謝が活発になり、血液の量も増えます。漢方では、冬を過ごした身体は陰陽のバランスを整えることが大事だとしています。

身体を冷やす食材には、生姜やお酢など体を温める薬味を、身体を温める食材には、冷やす薬味を加えるなどして内臓から健康を保ちましょう。

春の季節を迎えたら、どんな食材が最も養生に良いのでしょうか? 次の4種類の野菜がお薦めです。

たけのこ

春タケノコを使った土佐煮(プロモリンク / PIXTA)

 柔らかな肉質と歯ごたえで人々に好まれるたけのこ。中国では「菜王(野菜の王様)」または「山八珍」と呼ばれています。水々しいたけのこは植物性タンパク質、カルシウム、リン、鉄などが豊富。また、たけのこに含まれるセルロース(植物繊維の主成分)は消化を助け、お通じを良くする働きがあります。

ほうれん草

ほうれん草のおひたし(gontabunta / PIXTA)

春が収穫シーズン(3~5月)のほうれん草。カロテン、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、鉄分、コエンザイムQ10など多種多様な栄養素が含まれ、「栄養の優等生」と呼ばれています。

ほうれん草は咳を抑え、肝臓を穏やかにし、腸を整える作用があります。強い抗酸化作用を持つルテインとゼアキサンチンが豊富なので、茶碗一杯のほうれん草スープだけで、ゼアキサンチンの一日摂取量が満たされます。パソコンなどで目をよく使う人にお勧めです。

チャンチン

チャンチンの卵炒め(trikehawks / PIXTA)

春の穀雨(こくう。二十四節気の一つで、4月20日頃を指す)前後に出てきたチャンチンの新芽は柔らかく、高い薬用効果もあります。チャンチンは解熱・解毒の作用があり、胃腸を整え、風邪、リューマチ、胃痛、下痢などに効き目があります。

国連アジア野菜研究開発センターが150種の野菜を対象に行った試験では、チャンチンの抗酸化作用が最も優れており、サツマイモの3〜10倍も高く、トップの座を占めています。チャンチンは卵と炒めたり、豆腐と和えたりなどいろいろな食材と調理すれば美味しく食べられます。

日本で見かけたらぜひお試しを。

ナズナ

七草がゆ(ykokamoto / PIXTA)

代表的な春野菜のひとつ。カロテン、ビタミンB、ビタミンC、カルシウム、鉄分などを含みます。

『本草綱目』によれば、ナズナは肝臓と目に効き、利尿、浮腫みを取る作用があります。また、アミノ酸や食物繊維が豊富で、胃腸を掃除し、血液中のコレステロールと血糖値を下げる働きがあります。病気の予防に役立つので、特に高齢者にお薦めです。