天才バイオリニスト 音楽と人生について語る

2016/05/17 07:00

 パガニーニ国際コンクール(2006年)で優勝したニン・フェン(寧峰)さんは、天才バイオリニストと呼ばれる。ニンさんは英国王立音楽アカデミー開校以来、満点をとった唯一の卒業生で、多くのバイオリン・コンクールで受賞した。また、ニンさんの演奏はバイオリンの巨匠、メニューイン氏から絶賛され、「メニューイン国際コンクール」の審査員も務めた。

 恩師との幸運な出会い

 ニンさんがバイオリンを始めたのは、父親からバイオリンをもらった4歳の時。それから4人の恩師の指導のもと、ニンさんは基礎を学び、演奏能力を向上させ、様々な国際コンクールで受賞し、プロの演奏家に成長した。ニンさんは「これまで歩んできたバイオリン人生において、誰が欠けても今の私はありません」と語る。

 実はニンさんには、もう一人忘れられない恩師がいる。それは巨匠、ユーディ・メニューイン氏である。1999年、メニューイン氏が王立音楽アカデミーで演奏会を開いた時、ニンさんはバッハの「シャコンヌ」を演奏した。氏は感激して舞台に上るとニンさんを抱きしめ「私が想像していた通り、ほぼ完璧だ」と絶賛した。演奏会が終わってからニンさん宛に「あなたの演奏は私を深く感動させた。あなたの生まれもった音楽の才能はあなたの未来を輝かせるだろう」と手紙を送った。それから数日後、巨匠はこの世を去った。

 音楽の楽しさを味わうために楽器を学ぶ

 クラシックについて、ニンさんは「自分の趣味でもあり、仕事でもあります。私に多くの楽しみをもたらしてくれ、私はその楽しさを人に伝えることができます。音楽は私にとっては空気のような存在です。バイオリンと音楽があることで、私の人生は有意義になりました」と語る。

 楽器を学ぶことについては「今はコンクールで賞を取るために、子供たちに無理やり楽器を習わせていますが、あまりよくないと思います。音楽は人々に喜びを与えるもので、賞をとることは楽器を学ぶ目標であって目的ではありません。子供たちに心身ともに良いエネルギーをもたらすことができれば、それで十分です。また子供たちが楽器を学ぶとき、良い習慣を養うために、少し強制しても構わないのですが、子供たちは人それぞれ違うので、バランスを考えてほどほどにすることも必要です」と話した。

 印象に残った音楽会

 多くのオーケストラと共演したことがあり、多くの音楽会を開いたこともあるニンさんだが、印象に残った演奏会がいくつかあるようだ。

 まずニンさんがあげたのは、高校三年生の時にはじめて参加した本格的な音楽会で、音楽学院の先生とならんで独奏を任せられ、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を演奏した。音楽学院の教授に引けを取らない彼の素晴らしい演奏に、満場の観客は魅了されたという。

 またイタリアから招待され、イタリアの伝説のバイオリニスト、パガニーニがかつて使用していたバイオリン「カノン砲」で演奏会に参加した時のことも忘れられない。「歴史上最も偉大なバイオリン製作者のバイオリンを、私は2回も使いました。この2回の演奏会は忘れられません」とニンさんは語る。

 バイオリンについて、ニンさんは「バイオリンは演奏者を選ぶこともあります。また、優れた演奏家とバイオリンはお互いに補い合うこともできます。バイオリンは本当に不思議な力を持っています。パガニーニのバイオリン(カノン砲)を使ったときに、このバイオリンには魂があると感じました」と語る。

 心の中のバイオリンの巨匠

 ニンさんが最も尊敬しているバイオリンの巨匠は、ハイフェッツ氏とオイストラフ氏。ニンさんは「ハイフェッツ氏の音楽は、雲の上にいて、威張って人を抑えつけるような、また孤独な感じを受けます。ハイフェッツ氏の実生活も同じで、彼は孤独な人で、ほとんど友達がいませんでした。オイストラフ氏の音楽は親しみがあって近づきやすいような感じがしますが、彼が偉大であることは間違いありません」と話した。

 ニンさんは「現在、たくさんいるバイオリニストの中で、巨匠と言える人は二人しかいないと思います。パールマン氏とラトビアのクレーメル氏です。この二人の貢献がなければ、私たちの音楽界には彩りがなくなるでしょう」と話した。

 バイオリニストとしての生活と「壮大な計画」

 どんなに優れた演奏家でも、練習をやめることはできない。ニンさんは毎日約4時間バイオリンの練習をしている。曲目を選ぶ時、できるだけ広い範囲のものを選んでいるという。また現在、ニンさんはある「壮大な計画」を立てている。彼は「実はここ数年で、古典派、ロマン派、バロック音楽の作品はほぼ演奏を終えました。これから40歳までの間に、最も有名なバイオリンの作品、50〜60曲のソナタと30〜40曲の協奏曲を含めて、演奏するつもりです」と話した。

 今後について、ニンさんは「40歳以降、もし機会があれば、指揮者にも挑戦してみたいです。また、バイオリンの演奏家として、自分の音を残し、定期的にCDを出したいですね」と語る。

 現在35歳のニンさんは「バイオリニストとして、私は本当に幸運です。バイオリンを学ぶ人は大勢いますが、これまでのチャンスが訪れたことに感謝します」と、応援してくれる全ての人に感謝しているという。

 ニンさんなら、メニューイン氏の言葉通り、「生まれつきの音楽の才能が、彼の未来を輝かせるだろう」

(記者・李旭生 翻訳編集・林書羽)

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