女ひとりで世界一周放浪記 5

コロンビア 第2の都市メデジンの風貌

2016/05/26 07:00

 世界一周4カ国目は南米の国コロンビアです。読者の皆様は、コロンビアについてどういったイメージをお持ちでしょうか。「治安が悪そう」などネガティブな印象を持たれている方も多いと思います。私は4月15日から25日までの10日間、コロンビア第2の都市メデジンという街に滞在していました。今回の記事では、このメデジンの紹介を中心に、私のコロンビアの印象についてお伝えします。

 メデジンは標高1500mの所にある盆地で、すり鉢状の地形をした街です。年間を通して温暖で過ごしやすく、「常春の街」と呼ばれているほどです。寒暖差も少なく、日中半袖で過ごしていられるほど快適です。メデジンはコロンビアを代表する芸術家「フェルナンド・ボテロ」が生まれた街でもあります。

 それでは早速メデジンの街歩きをしてみましょう。メデジンは想像以上の都会で、街も綺麗で洗練されていました。巨大なショッピングモールやお洒落なカフェなどもあります。

巨大なショッピングモール(田中美久 撮影)

 

歩行者天国(田中美久 撮影)

 

 メデジンの中心地セントロに向かうと、ガラリと雰囲気が変わります。露店が多く立ち並び、多くの人で賑わっています。芸術家ボテロにちなんで名付けられた「ボテロ広場」では、彼の彫刻作品を数多く見ることができます。

ボテロ広場のボテロの彫刻(田中美久 撮影)

 気候が温暖なコロンビアは、果物や野菜が豊富。市場を歩いていると、日本ではあまり見ることのできない珍しい果物にたくさん出会いました。いろいろな果物を市場で食べ歩きするのも楽しいものです。

市場でフルーツの食べ歩き。見た目はグロテスクですが美味でした(田中美久 撮影)

 また、メデジンには、とても有名な日本語教師「かおりさん」という女性がいます。彼女が勤務するメデジンの私立エアフィット大学に訪問し、授業を見学させて頂きました。エアフィット大学の建物はとてもモダンで、内部も非常に美しく、素晴らしい環境下でのびのびと勉強に励むコロンビアの学生たちの姿が印象的でした。

エアフィット大学のモダンな建物(田中美久 撮影)

 かおりさんの授業では、真剣な眼差しで日本語を学ぶコロンビア学生の皆さんの姿を目の当たりにすることができました。彼らが日本語を学ぶ理由を尋ねてみると、主に「日本のアニメや漫画などの趣味がきっかけ」という回答がみられました。私が訪れた日、学生さんたちは先日九州を襲った地震について、日本語のニュースを聞いて学んでいました。地球の裏側に、こんなに沢山の日本に興味を持つコロンビア人がいることを知って驚きました。

かおりさんの日本語授業の様子(田中美久 撮影)

 

 

コロンビアの学生さんと一緒に(田中美久 撮影)

 夜はコロンビアの学生さんとサルサを踊りにクラブに行きました。コロンビアの人たちはとてもサルサが上手です。メデジンは親切で優しくフレンドリーな人で溢れています。

 スポーツ大国でもあるメデジンでは、休みの日には道路の一部が歩行者天国となり、たくさんの人がローラースケートやウォーキングなどをして楽しんでいました。

 人々は親切で優しく、街は洗練されて都会的で、いかにも平和そうに見えるメデジンの街。しかし、以前は「メデジン・カルテル」という麻薬組織の本拠地があり、日々殺人や窃盗が絶えなかったそうです。一時「治安最悪」とも言われたメデジンは、ここ10年程で治安改善の努力をしてきました。その最たるものが「インフラ整備によるスラムの再開発」です。

 すり鉢状の地形をしたメデジンですが、そのすり鉢状の傾斜地には巨大なスラムが存在しています。低所得者であればあるほど、高地へ家を建てていくのです。山頂まで低所得者層の家の赤茶色の屋根がひしめき合っています。メデジンは、それらの低所得者層の住む地域を優先にインフラを整えていきました。

山の傾斜地にひしめき合う巨大なスラム(田中美久 撮影)

 インフラ整備の1つ目は、「メトロ・カブレ」と呼ばれるケーブルカーです。メデジン市内にはメトロが整備されています。片道およそ80円ほどで、どこにでも行くことができます。このメトロにはケーブルカーも直結しています。同じ切符でケーブルカーにも乗り移動することができるのです。ケーブルカーは山頂の方まで続くスラム街の上も通っています。ケーブルカーができて以来、高地のスラムに住む貧困層の住民が都市部へアクセスしやすくなりました。その結果通勤や通学の所要時間が大きく短縮され、選べる仕事の幅も広がり所得増加にも繋がりました。また警察や消防なども街に介入しやすくなり、その結果、犯罪発生率が大きく低下したそうです。

山頂まで続くケーブルカーは市民の重要な足(田中美久 撮影)

 またインフラ整備の2つ目として、2011年にメデジン市が総工費670万ドルをかけて設置したエスカレーターがあります。「コムナ13」という、山の斜面に位置するスラム街の真ん中を突っ切るように、384mもの長さがあるエスカレーターが設置されました。それまで徒歩35分の山登りをしなければならなかったのが、このエスカレーターを利用するとたったの6分で到達できるようになったのです。スラムに住んでいる人々の生活が大きく改善されたのは言うまでもありません。

 このような画期的なインフラ整備以外にも、交通網の整備や低所得者層エリアへの公共施設など、メデジンは積極的に治安改善の努力を重ねていきました。その結果、犯罪発生率の大幅な低下という大きな結果を出すことに成功しました。メデジンの街は、2012年に行われた米紙ウォールストリート・ジャーナルとシティグループが実施した「今年の最も革新的な都市」コンテストで1位に輝きました。様々な治安改善に向けた努力が評価されたのです。

メデジンの夜景は美しい。まるで宝石箱のよう(田中美久 撮影)

 魅力たっぷりのメデジンですが、まだまだ治安の心配があるエリアが多く残されていることは事実です。これはメデジンに限ったことではなく、コロンビア全土に関して言えます。私達旅行者は現地在住の方からの忠告を受けたり、治安等に関する事前調べを怠らず、危険なエリアは夜には出歩かないなど、慎重な行動をとる必要があります。しかし、かつて「治安最悪」とも呼ばれていたメデジンの街を含む多くのコロンビアの都市は、地道な努力により大きく変化し、明るい未来へと歩んでいるようです。

(田中美久)

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