習近平氏の「政治経済学」に関する評論シリーズその1

供給側改革の障害とは何か

2016/06/01 18:20

 このシリーズでは、「供給側改革の障害」、「営増改をめぐる戦い」、「習近平の政治経済学」をテーマに、現在中国経済が直面する主な問題を明らかにする。

 まず、中国国内経済の失速と過剰生産の圧力に悩まされる習近平政権が昨年末に、供給側改革を掲げてきた。しかし、改革を進めていくには、地方政府から強く抵抗されている。本文ではなぜ、地方政府がその改革の障害となっているのかを明らかにしたい。

 「供給側改革」を提言する背景

 昨年11月と今年1月、習近平国家主席は中国共産党中央経済指導チームの会議で、長い間国内経済に蓄積してきた過剰生産能力、生産効率の低下などの問題を解消するため、供給側改革の推進に言及した。

 その改革には、過剰生産能力の削減、金融リスクを減らすためのレバレッジ(主に企業債務)の削減、在庫の削減、経営コストの削減、経済の弱い部分の補強(特に貧困問題、企業イノベーション力の不足、インフラ設備の滞り)がある。

 習政権が供給側改革を行う背景には、これまで中国経済が需要側の「投資」、「消費」と「輸出」を主要けん引力として経済成長を遂げてきたが、しかしその3大けん引力が低迷しおり、成長ができなくなった実状がある。

 投資について、中国当局の公開統計によると、1990年から2013年までの貨幣供給量である広義マネーサプライ(M2)残高は1兆5300億元から103兆6100億元まで拡大した。清華大学の白重恩教授の研究によると、M2拡大のかわりに、2013年までの過去20年間において中国での投資収益率(ROI)が持続的に下落している。

 例えば2008年世界金融危機発生後、中国当局は4兆元規模の刺激策を実施した。この、大部分の資金が、すでに過剰生産になっている鋼鉄業や石炭業に投じられた。その結果、これらの業界における過剰生産が一層深刻化し、大量な在庫で企業が赤字状況から抜け出せない。

 個人消費も過去30年間、国民の低い消費率水準で維持してきた。統計によると、2000年以降、毎年の国民の最終消費率(GDPに占める最終消費支出の割合)は50%を下回る状態が続いている。2000年の46.4%から2011年の35.5%までに下落してきた。同期の米国民の消費率は70%以上を維持し、イギリスは60%、日本は50%の水準を維持している。

 輸出でも、2015年までは輸出の年間伸び率は低下しており、15年以降はマイナス成長となった。

 過剰生産の原因は江沢民政権にある

 1990年代の江沢民政権は、おもに「汚職腐敗で国を治める」との政策で幹部の人心を掌握してきた。同政権は、地方の国内総生産(GDP)の伸び率が高ければ高くなるほど、その地方の幹部に対して速く出世させ、高い地位を与える。各投資プロジェクトを通じて、企業は儲けることができて、地方政府の税収が増え、幹部もそれを出世材料にすることができるため、地方政府は狂ったかのように各プロジェクトに投資するようになった。

 2001年世界貿易機関(WTO)に加入後、中央政府から地方政府までが鋼鉄業や石炭業などの業界を放任し、環境保護を無視して乱暴なやり方で産業を発展させてきた。

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