養生の奥義

米国在住著名中医学博士の李有甫氏 「養生とは己の徳を高めること」(1)

2016/07/19 15:54

 米国在住の著名な中医学博士で、中国武術の達人でもある李有甫氏が、5年ぶりに香港で「武術と中医学養生講座」を開催した。6月6日と7日にそれぞれ1回ずつ設けられた講座では、李博士独特の道徳養生理論が展開され、観客は熱心に耳を傾けた。その後博士は質疑応答や無料診察も行い、会場は大いににぎわった。

 李博士は講演会で、中国伝統文化を切り口にして、病気の原因にアプローチするという独自の養生理念を詳しく説明した。同氏は、養生とは食べ物を正すことだと思っている人もいるが、本当の養生とは道徳観念を向上させることが肝心なのだと説いている。

 「道徳観念は中国人にとって非常に大切だ。中国人が五千年の伝統文化を尊ぶのはなぜか。「道」があってこそ「徳」があるからだ。「道」とは天地宇宙万物の法則で、徳とは人々が「道」の法則に従って物事を行うこと。これこそが「徳」だ」

 養生とは己の徳を高めること

 李氏は古代中国の黄帝が、大仙人の広成子に養生の「道」の教えを乞うた話に触れた。

 広成子は、執着心や欲望を抱いて「道」を求める黄帝に何も教えようとはしなかった。黄帝が自我を捨て去り、自身の執着や欲望を手放し、天地宇宙の法則に従うようになり、広成子はようやく本当の養生の道を伝授することにした。

 また唐代の「神医」と言われた孫思邈は、医の「道」は道徳を重んじることを第一歩とすると説き、己を忘れ患者のことを第一に思い取り組むと初めて医の奥義を極めることができると明言している。

 そのため李博士も、社会のあらゆる職業も仕事も徳を重んじることが必要だと力説している。武道にいそしむものは武徳を、商売を行うものは商徳を、政治に携わるものは政徳を養うことによって、社会をより良く変えていくことができるという。

 同氏は、古代から現代までを見渡して、現代社会で万物が退廃しているのは人の心が変わったからだと認識するとともに、未来の社会が進む道は、人の心が善に向かうことだと考えている。

 また20年間修練を重ねて会得した超常能力と経験によって「人の思考と信仰は最大のエネルギーだ」とも指摘している。「良い想念を動かして損得勘定を捨て去り、自我を手放すことができれば、病気の半分は自ずと治癒するようになる」と語った。

 医療とはまず病気の原因を探り、心の治療から始めること

 臨床例に話が及ぶと、李氏は脈を取って症状を確定すること以外に大切なのは、病気の原因を突き止めることだと述べ、米国である若者を治癒させたことを例に挙げた。

 その患者の脈をとった時、彼はひどいかんしゃく持ちで、すぐ腹を立てる性格だということが分かったため、治療では先ず患者の心を穏やかに保つように諭し、道徳理念に従い自身の行いを省みるように働きかけた。そのうえ治療を施すと初めて病気を根本から直すことができたという。

 また李博士は午前1時から3時の間は肝臓を休ませる時間であり、この時に起きていたり眠りが浅かったりすることがあれば肝臓に問題がある兆しであると説明し、聴衆に肝臓を養生することの大切さも説明した。

(つづく)

(翻訳編集・島津彰浩)

 

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