王立軍事件の内幕 米政府が王立軍亡命を拒否した理由=米メディア

2016/09/12
更新: 2016/09/12

米情報サイト「ワシントン・フリー・ビーコン」が6日に、2012年2月6日、王立軍事件に関して、亡命を企てた王立軍副市長に対して米国政府が拒否した本当の理由は、王氏の腐敗によるものではないとの評論記事を掲載した。

同報道によると、2012年2月6日、王立軍氏が米総領事館に駆け込んだ際、一部の機密資料と数十万ドルの現金が入っているスーツケースを持っていた。ある米国政府元官員の証言では、王氏は米国側に、中国共産党指導部に関する内部情報と、党と政府に関する内部資料を持っていると告げたものの、総領事館の外交官との面談では資料を提出しなかった。王氏は自分が中国当局に逮捕された場合、その内部資料を切り札にすると提案したという。

しかし、当時の米国務長官のヒラリー・クリントン氏は、米国は腐敗犯罪記録のある中国官僚を保護することができないとの理由に王氏の亡命を許可しなかった。

亡命可能であるにもかかわらず 拒否された王立軍

一方、王立軍は亡命可能だったとの指摘もある。レーガン政権でホワイトハウス情報アドバイザー、ジョージ・ブッシュ政権で国家防諜副責任者を務めたケネス・デグラフェンリード(Kenneth deGraffenreid)氏によると、米政府はこれまで犯罪活動記録のあるものの、米側に重大な情報提供できる外国の亡命者を受け入れたことがあるとし、王氏の米国への亡命が可能だったという。

「ワシントン・フリー・ビーコン」は、米国務院が王氏の亡命を拒否した本当の理由は、王氏の腐敗ではないと指摘した。当時の中国は胡錦濤政権から習近平政権に移行しようとする大事な時期で、米政府は次期習近平政権に対して政治改革の推進、共産主義体制からの脱却を期待していた。米国は王氏の亡命事件でこの重大な権力移行局面にマイナスな影響を与えると判断した。

王氏が米総領事館に滞在した30時間にホワイトハウスも介入した。NSC(国家安全保障会議)とジョー・バイデン副大統領は、12年2月14日にワシントンでの開催を予定されていたバイデン氏と習近平氏の会談に影響を与えると懸念し、米国務省に王氏の事件を早急に解決するようと指示したという。

 

「中国機密を知る絶好のチャンスを失った」専門家

デグラフェンリード氏は「ワシントン・フリー・ビーコン」に対して、クリントン氏とオバマ氏が王氏の亡命を拒否したことによって、米国は数少ない中国共産党に関する内部情報を入手する絶好のチャンスを失ったと指摘した。同氏は「クリントン氏とオバマ氏は、自分たちが直面している中国共産党政権の本質を認識できていない」との見解を示した。

「ワシントン・フリー・ビーコン」は王氏が米国への亡命が実現できなかったもう一つの理由は、米政府とその関係者が、王氏が総領事館に駆け込んだという情報を内密にすることができなかったことにあるとした。

クリントン氏が公務中に私的電子メールを使用した問題で、当時ホワイトハウス政府関係者らの王氏の亡命に関する頻繁なやり取りが明らかになった。中国当局がクリントン氏の電子メールアカウントをハッキングし入手すれば、王氏の情報は直ちに入手できる。一部の米国政府関係者は、当時米国政府からこの情報が洩れなければ、王氏は米国に脱出することができたのではないかと指摘している。

中国側に身柄を渡された王立軍氏は、2012年9月、中国・四川省成都市の中級人民法院(地裁)から、職権乱用や収賄などの罪で禁錮15年の刑を言い渡された。

(翻訳編集・張哲)

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