反腐敗運動

中国版リアル「ルパン三世」? 汚職官僚を失脚させる「正義」の窃盗団

2016/09/21 06:00

 「彼らも盗んできたのだ」。合肥市の裁判所で開かれた公判で、窃盗団の一人である被告は、開き直りを見せた。伝えられるところによると、この窃盗団は、役人高官が汚職で手にした裏金や賄賂品のみを狙って、窃盗を繰り返していたという。まるで「ルパン三世」一味に例えられそうなこの窃盗団を、中国国内では英雄視する声さえあるという。

  中国では、習近平主席が反腐敗運動をまい進させている。こうしたなか、窃盗団による犯行で、腐敗官僚の汚職が発覚するという事例が相次いでいる。この現象は「泥棒反腐(腐敗に反対する泥棒)」と呼ばれている。

 「彼らも盗んできたのだ」開きなおる窃盗団

 9月10日、中国メディアの新京報が報じたところによると、合肥市の裁判所で窃盗罪に問われている窃盗グループ4人に対する公判が始まった。

 窃盗団は、2006年から高官や役人関係者のオフィスや自宅のみに狙いを定めて、浙江省、河南省、湖北省、山西省など複数の省にまたがり25件にも及ぶ窃盗を繰り返していた。

 窃盗グループがターゲットにしていたのは、汚職官僚のオフィスに隠されていた高級タバコや金券、高級腕時計、携帯電話、パソコン、各種ブランド品、宝飾品、冬虫夏草(非常に高価なことで知られる漢方薬で、賄賂によく使われる)、現金など。

 窃盗団は逮捕された場合のことも考え、犯行現場で誰からどの品を盗んだか写真に記録していた。汚職を取り締まる規律検査委員会へこうした証拠を提出することにより、自身の情状酌量を狙う意図があったとみられている。

 唐水燕容疑者は、マスコミの取材に対し「彼らはみな汚職官僚だ。私は彼らからしか盗んでいないが、彼らも盗んできたのだ」と語り、こうした賄賂の品々は、持ち主が不当な手段で手に入れたものであることを強調している。

  今回の裁判で、一連の盗難事件の主犯格、林暁君容疑者には無期懲役、唐水燕容疑者、房雲雲容疑者の2人には10年以上の有罪判決、唐燕平容疑者には禁固3年の有罪判決が下された。

窃盗団の余罪追及で、複数の汚職が明るみに

 この窃盗団の余罪を追及する中で、複数の汚職事件が明るみに出た。窃盗団が汚職官僚の名前を党の紀律検査委員会に報告したため、取り調べが始まったケースもある。

 例えば2013年5月、同窃盗グループは当時中国建設銀行安徽省支店の機構業務部副代表を務めていた張瑞紅の自宅に侵入し、60万元(約920万円)相当の高級品や金券などを盗み出した。

 被害を受けた張は、当初警察に対し被害総額は150万元(約2300万円)と報告した。だが警察が現場検証に訪れると、数千元(約数万円)の被害にとどまったと被害総額を大幅に訂正した。

 その後、張とその夫である当時中国銀行業監督管理委員会安徽監管局の副局長を務めていた胡沅の汚職が明るみに出たため、2014年10月及び2015年3月、張と胡はそれぞれ贈賄の罪により立件された。

 またこの事件以外にも、ここ数年で、盗難事件を発端に盗難被害者の汚職が明るみに出るといったケースが相次いでいることが報じられている。

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