世界で一番速い伝統工芸品

芸術作品のように自動車をつくりあげるフェラーリの職人たち

2016/12/18 22:00

 今回イタリアを訪れたら、高級スポーツカー・メーカー、フェラーリの工場を見学したいと思っていました。よくフェラーリは特別な芸術作品と称賛されていますが、エンジンなど、どの部品もすべて伝統工芸品のように手作業で丁寧に製造されていました。実際に工場で製造の全過程を見学してみたら、なぜフェラーリが世界のファンから高い評価を得ているのか理解できました。

 まるで日本庭園のよう! 美しい花や緑に囲まれた作業場

 フェラーリの本拠地はイタリア北部モデナ州都ボローニャに近い町マラネッロにあります。本部にはフェラーリ社の会長や役員たちのオフィスがあるだけでなく、すべてのグランツーリスモ(高速走行性能を備える自動車)とF1マシンの設計や製造もここで行われています。すべてのフェラーリ車はここで誕生しています。

 車の工場というと機械の音で「とても騒々しい」印象でしたが、工場に入った途端、まるで美しい花園に入ったかのようでした。フェラーリの工場内は騒音、光、室温がそれぞれ最適化されています。工場の外には美しい庭があり、ガラス張りになっている作業場は外の庭で美しく咲いている花や豊かな緑と一体となっており、まるで美しい日本庭園を見るようでした。私自身も歩いていると工場を見学していることすら忘れてしまうほど。

 工場内はとても広く、多くの通路があります。これらの通路には創始者エンツオ・フェラーリや伝説のF1ドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオなどF1グランプリ優勝者の名前がつけられています。フェラーリは自社のこれまで歩んできた歴史と伝統的騎士道精神を誇りに思っています。

 建物内の電力は完全自家発電で、CO2排出量を40%減少することに成功したそうです。これほど徹底的に工場の環境保護を行うのには驚かされます。視学的な美しさと環境保護へのこだわりは、社員のストレスを軽減するのが目的だそう。

 「社員が毎日楽しくて誇りに思っていれば、自分の仕事を好きになる。そうすれば、効率よく仕事を全うできるだけではなく、創造性の向上にもつながる」

 花園のような視学的美しさ、F1ドライバーの名前が名付けられた通路、環境保護の意識の高さは、みな「人間が第一」という理想を実現した現れであり、私はここにいる社員全員、とても大事にされているのを感じました。そしてフェラーリの経営陣は本当に賢明だなと感じました。

トップクラスの鋳造技術を持つエンジン生産部門

 私たちが最初に見学した作業場は、建築家マルコ・ヴィスコンティ氏が設計した「新エンジン加工エリア」でした。ここは、世界のフェラーリファンたちが最も知りたがっている、V型8気筒(V8)と12気筒(V12)のエンジンの作業場で、職人たちの手によって、フェラーリのエンジンが、どのように作り上げられているかが見学できる場所です。このエリアには世界最先端の機械設備があるだけではなく、同時に豊かな緑も方々に置かれており、働く環境としてはとても優れています。ここでも社員たちを最善な状態に保つため、エリア内の湿度と室温が調節され、美しい環境が整備されています。

 フェラーリの鋳造技術は世界トップクラスと言われています。メインは職人たちの手作業で、工場内には最先端の工作機器もありますが、それらの設備は、むしろより効率的に伝統的な手作業の技術をサポートするためにあるのだそうです。ですからフェラーリの各部門では今も変わらず手作業が行われています。極めて小さいエンジン部品一つでも、熟練した職人が、鋼の杓子で溶けた鋼を取り、型に流し込んで作っています。ちなみに昨年、ここで作り上げられたフェラーリは7600台だったようです。

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