分析 19大後の中南海権力図

中国 組織構造改革に着手 改革案から読む習政権の意図

2017年01月04日 12時00分

 香港メディアはこのほど、習政権が中国共産党指導層組織の構造と人事編制の抜本的な構造改革に着手したことを報じた。今回の構造改革では、「総書記」という党最高指導者の名称を「主席」に変更するとともに、新たに副主席のポストを設け、国務院総理と人民代表大会委員長を自動的に副主席に就任させるという新たな政治構造を構築しようとしている。

 構造改革が実現すると、現行の政治局常委が実質的に格下げされる。一方、党が政府の上位に位置している現在の関係が対等なものに近づき、党の影響力が弱まるよう是正される。

組織構造改革に関する提案書における3つの注目点

 香港の雑誌『争鳴』12月号によると、今年の11月中旬、中国共産党中央政治局と19大準備組は一部の党高官に対し、党中央上層部の組織構造改革に関する提案書及び意見募集稿を配布した。

 この提案書では、党中央組織構造と人事編制に関連する一連の改革について触れられているが、中でも次の3つの点が非常に興味深い。

 1、「総書記」の代わりに「中央委員会主席」を設ける。さらに新たに2名の副主席を設け、副主席は全国人民代表大会委員長と国務院総理がそれぞれ担当する。

 2、中央書記処総書記、常務書記を設け、中央書記処は中央政治局と中央委員会主席の指示に従って党・政府・軍に関する業務を行う。

 3、中央軍事委員会は常務委員会を設け、中央軍事委員会には4名の副主席を設けて、国務院総理と中央書記処総書記は自動的にその副主席に就任する。

常委制は有名無実化し、政府の軍への影響力は増大

 これらの情報について時事評論家の唐靖遠氏は、新しい組織構造においては、中央委員会主席と2人の副主席の3人は実質的な党指導者層の中枢になり、政権運営の中枢機関としての中央書記処は、中央委員会主席の指示を仰ぎ政務処理を行うものになると分析している。

 唐氏は、「こうした改革を実施する最大の狙いは、現行の常委制度を有名無実化させて、常委を名目だけのポストにしてしまうことにある。そうすれば、常委が主席の意向を無視したり、主導権を争ったりすることで国政を混乱させるという状況を回避する一方、上層部の権力を集中させることもできる」と語り、更に、

「国務院総理と中央書記処総書記を中央軍委副主席に就任させることによって、一部の軍権が国の行政システムの中で掌握されるようになるため(訳注)、政府の軍への影響力を強化することができ、軍幹部が軍隊を私兵のように掌握することを防ぐことにつながる。これは国家監察委を設立させることで、党の力を弱めて政府の権限を強めようとしている習政権の構想と基本的に一致している」とも分析している。

権力構造の単純化により、上意下達の効率を上げる

 現在の中国共産党の権力構造は上から順に、党総書記1人、政治局常委7人、政治局委員25人、中央委員205人、中央候補委員171人からなるピラミッド型の権力構造となっている。

 それに対し、19大準備組が提案した新たな権力構造では、中央委員会主席1人(習国家主席)、副主席2人(王岐山人大委員長と李克強国務院総理)が就任するが、その下には常委らが占める中間層が存在せず、直接中委主席の命令に基づき中央書記処が各部門と協調して具体的な政策を実施することになっている。

 習主席の意向を書記処の総書記に伝えるだけで、各省市や各部委にそれを通達できる、このようなシステムを構築することが可能になる。これにより、習主席の核心としての働きを強化するだけでなく、これまでのように習主席の実施しようとする様々な政策が中間層で妨害を受けたり遅延させられたりすることも減り、習陣営が推進する改革を加速させることができる。

 つまり、中南海の最高権力構造が、これまでの総書記+常委の7人という体制から、主席1人+副主席2人という形に変更され、政治局常委が降格され、重要事項の決定権は中委主席習近平とその補佐を務める2人の副主席に渡され、さらに書記処総書記が直接中委主席の指示を受け政策の実行を推し進めるということになる。

姿を見せつつある19大後の権力構造

 こうしたことから考えると、この構造改革を実施するにあたり習主席にとって最も重要なことは、人大委員長、総理、書記処総書記の席に信頼できる人物を据えることに他ならない。

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