【社説】2017年は大変革のとき 米国、欧州、中国も伝統回帰へ(2)

2017/01/15 06:00

伝統的価値観とはなにか

 ここでいう伝統とは、人類の歴史において継承されてきた思想、道徳、風習、芸術、制度などを指している。古今東西、どのような政治経済体制を継続させるにしても、内在する伝統と道徳の力のよりどころを必要とする。伝統と文化は密接にして不可分の存在だからだ。

 人類の文化系統において、究極の価値観はいずれも、世俗を超越した至高の力ともいうべき存在から生まれている。古代の社会において、この主役を担ってきたのが神である。現代社会においては、神と法律とがその責任を共同で担っている。

 中華伝統文化は、神伝文化であると言える。「儒・佛・道」をベースに、信仰を中心に据えて道徳を尊び、非常に安定した道徳体系が創り上げられた。この道徳体系によって社会の存続、安定と調和の基礎を築いた。伝統文化は社会生活を営む人々の価値観で反映される。つまり、「仁・義・礼・智・信・温・良・恭・倹・譲」を信奉し、天人合一(天と人間との関係は本来一体のものであるとする古代中国の思想)や因果応報を信じることである。

中世の街並みが残るフランス南部の街リュセラムでは、クリスマスの時期にイエスの誕生を表す小さな人形が飾られる(YANN COATSALIOU/GettyImages)

 西洋の主だった伝統文化は、キリスト教信仰の上に成り立っている。欧米諸国の法律で保証されている、自由、民主主義、法治政治、平等、人権、権力の分散 といった概念はいずれも聖書からもたらされている。西洋の伝統では、モラルや人道が重んじられ、愛や寛容、謙譲に溢れた心を持つことが大切だとされてきた。

 しかしながら時代が下るにつれ、こうした伝統的価値観は傍流に追いやられてゆくこととなり、特に第二次世界大戦が終わってからは、東洋から西洋へ、中国から米国、欧州へとその流れが波及していった。世界全体が伝統文化やモラルに背を向けるようになった今、人類は自滅への道を狂奔しているようにさえみえる。

中国の混乱の原因はどこに

 中国は60年以上に渡り、共産党政権による支配を受けてきた。その結果、約1億人の中国人が非業の死を遂げ、中国社会と中華民族が自身のよりどころにしてきた五千年の文化が徹底的に蹂躙された。国土は極度に汚染され、伝統的な社会秩序や道徳観念が崩壊し、社会問題が山積みで、社会道徳と国の未来に対し人々は希望を感じてはいない。

 中国共産党こそが、中国に混乱を招いた諸悪の根源だ。共産党は一連の政治運動とマルクス・レーニン主義による無神論主義を徹底させたことにより、中国社会に連綿と続いてきた数千年の伝統文化と信仰を根本から叩き潰した。「儒・佛・道」は影を潜め、「仁義礼智信」などもはや存在しない。モラルの消滅は民族滅亡の危機をもたらした。

欧米諸国に混乱をもたらしたもの

米ニューヨークのマンハッタンにあるセント・ポール教会を訪れる観光客(Mario Tama/Getty Images)
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