THE EPOCH TIMES
女ひとりで世界一周放浪記 13

パレスチナの今

2017年02月01日 07時00分

 歩いていると、突如パレスチナ人男性が兵士たちに取り押さえられました。驚いて一体何事なのかタラルに聞くと、彼曰く、兵士たちは彼がイスラエル兵と同じカーキ色のジャケットを着ているのが許せないのだと言います。正直言って訳が分かりません。「僕にだって分からないよ。彼らはクレイジーなんだ」とタラルは呟きました。

 幼い子の前で兵士がパレスチナ人のジャケットを取り上げています。異常な光景ですが、ここでは日常なのです。18歳そこそこの若い兵士たちに、善悪の判断がつくのでしょうか。そこには正当な理由なんてありません。単なる嫌がらせなのですから。

突如パレスチナ人を取り押さえる兵士たち(田中美久 撮影)

 タラルからその後もいろいろな話を聞きました。とにかく、彼の置かれている今の状況は過酷すぎます。その日の生活をしていくのも厳しいのです。話を聞いていて涙が出そうになりました。彼は英語が堪能で、世界情勢のこともよく知っています。優秀で、とても善良な人でした。しかし、私には、ガイド料を払い、彼にコーヒーを一杯ご馳走することしか出来ませんでした。

 タラルは言いました。「日本で働いていた時、日本人は凄くよくしてくれた。日本が大好きなんだ」。しかし、私の国はパレスチナを国として認めていません。パレスチナにきて思いました。イスラエルとパレスチナが1つの国としてやっていくのは不可能です。これだけの圧倒的な力の差が生まれてしまっていて、今イスラエルがしていることは弱いものイジメにしか見えません。ユダヤにいくら同情すべき過去があったとしても、イスラエルが今やっていることは、これまで彼らがされてきたことそのものです。私は、パレスチナは国として独立すべきだと思っています。

 タラルに別れを告げ、パレスチナ人が歩くことを禁じられているエリアを1人で歩きました。もしパレスチナ人がバリケードを超えてこのエリアに足を踏み入れたら、無条件で撃たれるのだそうです。

 ゴーストタウンのあちこちにはためくイスラエルの旗。「ここはイスラエルじゃない、パレスチナだ」と心の中でつぶやきました。

 途中でトイレに行きたくなり、ゴーストタウンの住民に声をかけると快く貸してくれました。どうやらここはユダヤ人入植者の家のようです。彼らはこんなゴーストタウンの中に住んでいて、一体どんな気持ちなのでしょうか。

 ユダヤ人入植者の彼らは、話してみると、とても親切で優しい人ばかりでした。お菓子や紅茶を振舞ってくれ、私の旅について話をしたり、楽しい時間を過ごしました。1人ひとりのイスラエル人と話すと、皆フレンドリーで親切で良い人ばかりなのです。

ゴーストタウンに住むユダヤ人入植者たち(田中美久 撮影)

 ヘブロンからベツレヘムの家に戻ると、広場でクリスマスイベントが開催されていました。いつも以上に賑わいをみせる活気ある雰囲気の中で、パレスチナの人々はそれぞれの時間を楽しんでいます。しかし私は身も心も疲れきっていました。打ち上がる花火を見ながら、今日ヘブロンで見聞きしたことを思い出していると、自然と涙が流れました。

 複雑な問題

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