アルツハイマー患者 記憶障害が全くない場合も

最新の研究によると、一部の老人はに広範なアルツハイマーの病状が見られるにもかかわらず、彼らには認知症の症状がないばかりか、逆に記憶力が高い人もいることが分かった。

ノースウェスタン大学認知神経学とアルツハイマー病センター(CNADC)は、記憶力を測るテストで同年代より優れていると診断された90歳以上のお年寄り8人を選抜し、彼らの脳を分析した。

その結果、8人のうち3人の脳は病理学的にアルツハイマーであるにも関わらず、生存中は高い記憶力を有していたことが分かった。彼らの脳の海馬(記憶を司る場所)の神経細胞が比較的損なわれていなかったためと考えられている。一方、別のアルツハイマー病を患う5人の患者の場合、海馬やそのほかの記憶を司る部位に細胞死の症状がみられ、記憶障害などの症状があったという。

一般的に、脳内の広範なプラーク(沈着物)やタングル(神経原繊維変化)がアルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられているが、一部の人はそれらに対する免疫があると科学者は指摘する。研究が進めば、今後アルツハイマー病の予防や治療が発展すると期待されている。

CNADCのチャンギズ・ギューラ教授(Changiz Geulra)は今後、免疫を持つ患者を遺伝、食事、環境の面から研究し、アルツハイマーから脳と記憶を守る要素を特定したいと話している。

同研究は、昨年11月に米サンディエゴで開かれた北米神経科学学会で発表された。

(翻訳編集・郭丹丹)