曽錚コラム

獄中体験「リアルな虚構」にまみれた中国

2017年04月10日 06時00分

 3月29日、英文外交紙The Diplomatに「China’s Organ Transplant Problem(中国の臓器移植問題)」という記事のなかで「このようにつじつまの合わない臓器提供者数を前にしては、(中国当局による)説明を鵜呑みにすることはできない」と記されている。

 これを読んだ私は、思わず深くうなずいた。北京の女子労教所で実際に体験した、「リアルな虚構」がでっちあげられたできごとを思い出したからだ。

 2001年、私は法輪功の学習を放棄しないため労教所に送られた。そこの食事といったら、本当にひどいものだった。

 ある日のこと、食堂の昼食メニューに「鸡块烧土豆(鶏肉とジャガイモの煮込み)」とあった。それを見た同室の女性がため息交じりに「いつになったら鶏肉を食べさせてもらえるのかしら」ともらした。何を言っているのかよく分からなかったが、食堂で「鸡块烧土豆」が椀によそわれて初めて、彼女の言った意味が分かった。肉なんてない。ジャガイモばかりだった。

 数カ月後、労教所に見学者が訪れた。見学内容には私たちの食事の様子も含まれていた。

 

2001年5月22日撮影、馬三家労教所(John Leicester/美聯社)

 その日私たちには、これまでお目にかかったこともない「红烧排骨(スペアリブの照り煮)」が、椀に山盛りになるほどたっぷりと提供された。だが、量が多すぎて規定の時間内に食べきることなどできそうにない。労教所では食事を残してはならず、残りものを部屋に持ち帰ることも許されなかった。しかも、食事終わりの笛が鳴ると、すぐに箸を置かなければならなかった。(規則を違反すればひどい体罰を受けることになる)

 いつもはあれほど肉が食べたくてたまらなかったのに、この状況では食べることが苦痛と化してしまった。食べきることに必死になるあまり、私は何度も吐きそうになった。そんな中、隣に座っていた法輪功学習者でない女性収監者が、食べ残しの罰を避けるため手元が狂ったふりをして、肉の入った椀を床にひっくり返した。あたふたと、床にぶちまけられた「红烧排骨」の片付けをする彼女の眼には涙が浮かんでいた。きっと、二度とありつけない「豪華な」食べ物を粗末にしなければならないことへの無念さで胸がつぶれる思いだったのだろう。彼女の予測通り、それ以後こうした料理は二度と提供されなかった。

 驚くべきことに、この日の見学者は外部の人間ではなかった。全員が労教所系統の上司や、他の労教所の警官たちだったのだ。つまり、こうした内輪の人間に対しても内情を偽って、彼らをだます必要があったということだ。

 偽りの状況をでっちあげることは中国ではごく普通に行われている。まるで「第二の本性」を示すように。これでも中国当局の公表するデータや宣伝を信じられるだろうか? もし、何の手も加えられていないデータや事実が自由に人々に公表されているとしたら、その方がよほど不自然なことだ。

(翻訳編集・島津彰浩)

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