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市場経済ゆるがす中国の外資ボイコット ブーメランで損するのは中国

2017年04月13日 06時00分

 中国の実業家・郭学明氏は、2012年の尖閣諸島をめぐる領海争議で日中それぞれの相手国感情が最悪レベルとなったとき、日本企業との交渉に失敗した経験をつづった。郭氏は、「愛国心」のような不安定要素が市場経済の基盤をそこなってはいけないと警鐘を鳴らす。郭氏の微信アカウントで今年3月7日に発表されたものを抄訳した。


 2012年10月のある日、瀋陽日本総領事館の松本盛雄・総領事(当時)に誘われ、百貨店「瀋陽伊勢丹」内の日本食レストランで夕食をともにした。当時、中国各地では反日デモが巻き起こり各地で日本車が破壊されていた。松本氏は、私の意見を聞きたがっていた。

 松本氏は、日中の友好を提唱する外交官として、積極的に日本企業へ中国投資を誘致していた。私たちは2010年春、瀋陽の経済技術開発区の日本工業団地の開設式典で知り合った。その後、すぐに松本氏は私の会社を見学しに来た。

 松本氏は、私がどうやって、日本の建設大手「鹿島建設」および建築資材大手「LIXIL」と契約できたのかに興味があったようだ。両社はともに米経済誌が選ぶ世界の500社「フォーチュン500」に名を連ねる大企業。日本企業は非常に保守的であり、1840年に設立された鹿島建設はさらに慎重だと話してくれた。

 私の会社は2009年10月に創業、資本金は1億元(約16億円)と比較的小規模だ。「数カ月前ほどに創業したばかりの会社が、どうやって日本企業と契約できたのか」と松本氏は首を傾げた。

 私は3つの点を説明した。

1:瀋陽市の面積は中心から直径200キロメートル。これは日本の総建築面積に相当する

2:中国と日本では建築資材の品質に大きな違いがあり、特にプレハブ資材では顕著。建設技術は中国で有利で、市場を獲得することができる

3:私たちの会社は非常に小さくても、チームメンバーはすべて起業家であり、市場に精通している。中国への投資を考える日本企業は、市場を理解しているパートナーが必要だ

 はっきりいって、3つのポイントはただ一つだけ。市場、市場、市場。

 外国企業が中国に参入するうえで最も重要なのは市場だ。私たちはLIXILと鹿島建設と契約を結んだ。また、中国市場に進出する17の関連会社とも手を組む計画だった。

2013年3月、建築資材大手LIXILのロゴ。東京での展示会で(GettyImages)

 しかし、松本氏は、反日感情により多くの日本企業が中国への投資をしり込みするだろうと述べた。松本氏は、中日間のビジネス協力関係と将来の動向について、起業家である私の見解を求めた。

 私は逆に、楽観視していた。中国の30年間の開発は改革開放政策の恩恵を受けていて、将来もこの方針から逸脱することはないと考えていた。

 さらに、中国の消費者は非常に実際的だ。(品質の)良い製品は市場にニーズがあり、中国の一部の愛国主義者による怒りと、実際的な価値に基づく市場の変化は、必ずしも一致しないと主張した。

 そして、外国製品をボイコットし、路上で車を破壊したりするような人々の行動は、多くの中国人を代表していないと説明した。

 松本氏は私の分析に納得している様子だった。日本政府にとって日中が友好的な関係であることは重要で、日本企業は中国に誠意を示すだろうと話した。彼はまた、瀋陽に、日本ビジネス向けの道路の建設計画があり、投資するように誘った。

 この夕食会のすぐ後、西安で車を壊した若者に有罪判決が下った。しかし、日本企業は依然として事態に慎重で、守りの姿勢だった。判決は、彼らの考えを楽観的にさせるのには、あまり役立たなかった。

2012年9月、杭州での反日デモの様子(GettyImages)

日本企業の撤退 数千万元の投資による収益見込みを失う

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