栄養の専門家がすすめる

お茶の淹れ方と健康効果

お茶は世界で最も親しまれている飲み物の一つ。リラックス効果があるだけでなく、茶葉に含まれるカテキンカフェインテアニン(茶のうま味成分の一つでアミノ酸の一種)が、認知力の向上、血圧の低下、心臓病や糖尿病を予防するという報告があります。健康への効果をアップするには、どのような種類のお茶と淹れ方がよいでしょうか。オーストラリアのニューキャッスル大学で食品科学と分子栄養を研究するエマ・ベケット(Emma Beckett)博士のアドバイスをご紹介しましょう。

 1. どのお茶が健康に良い?

紅茶、ウーロン茶、白茶、黄茶、緑茶、黒茶は全て茶樹(チャノキ、学名Camellia sinensis)と呼ばれるツバキ科の植物から採取され、発酵法の違いによって香味が変わります。紅茶は完全発酵、ウーロン茶は半発酵、白茶は弱発酵または不発酵。緑茶と黄茶は不発酵で、黒茶は後発酵です。

 

(Shutterstock)

発酵後、テアニンの量はどのお茶もさほど変わりませんが、カフェインとカテキンの濃度には大きな差があります。カフェインの量は紅茶が最も高く、カテキンは緑茶、黄茶と白茶が最も多い。緑茶は抗酸化物質を多く含むため、健康にいいお茶とされています。緑茶のカフェインは少量ですが、過度の摂取は控えた方がいいでしょう。

また、市販のアイスティーやお湯で溶かして飲む抹茶ミルクのような飲料には、生理活性物質が少量しかなく、多量の糖分が含まれているので、あまりお勧めしません。また、お茶に含まれる「タンニン」という苦味成分は鉄分の吸収を阻害するので、食後に飲む時は、少し時間を取ってからにしましょう。

2.健康によいお茶を淹れるには?

どのお茶も健康にいいですが、淹れ方を工夫するといいでしょう。

- 沸騰したお湯で2、3分淹れると、60%のカテキンと75%のカフェイン、80%のテアニンが浸出されます。

- お茶は放置する時間が長いほど茶葉の生理活性物質が多く出ますが、濃すぎると不味くなるので、注意が必要です。

- 酸性の水で淹れた方が、アルカリ性の水と比べて、生理活性物質がより多く滲み出ます。紅茶はレモンティーにすると良いでしょう。

 3.電子レンジでお茶を加熱すると?

沸騰したお湯で淹れたばかりのお茶を30秒置いた後、電子レンジで3分間加熱すれば、お茶に含まれる多くの生理活性物質を抽出することができます。

4.紅茶に牛乳を入れるのは良い?入れるタイミングは?

牛乳を入れてもお茶の効用は変わらない(Africa Studio/Shutterstock)

ミルクティーが健康によいかどうかは、賛否両論です。イギリス王立化学協会では、牛乳を先にカップに注いでから紅茶を入れた方が牛乳の固まりを抑制し、美味しいミルクティーが出来上がるとしています。

5.茶葉とティーパックの違いは?

一般的に、茶葉の方がティーパックに比べて生理活性物質の含有量が高いといえるでしょう。しかし、ティーパックの中の茶葉は細かく刻まれているので、生理活性物質が抽出されやすいというメリットがあります。

(翻訳編集・海田)