欧米中の関係

李克強首相が訪欧 貿易で依然に対立、中欧関係は強化できず

2017/06/05 17:46

 中国の李克強首相は5月31日から6月2日まで、ドイツとベルギーを訪問し、それぞれの国で中独首脳会談と第19回中国欧州連合(EU)首脳会談を行った。

 李首相が訪欧中、トランプ米大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。昨年イギリスの欧州離脱(ブレグジット)も受けて、一部の専門家や政府関係者からは、今回の李首相の訪欧には「重大な意義」があるとし、中欧協力関係強化に期待感が高まった。

 またトランプ大統領が掲げる「米国第一主義」で、EUは対米や対中政策の見直しと転換を迫られている。今後EUは今までの「米国と協力する」から「中国と協力する」に変わり、世界で起きている多くの課題に対して中国が主導権を握り、EUがそれに協調していく形になる可能性があるとみられている。

 ロイター通信も2日、「米国がパリ協定から離脱することによって、今後、地球温暖化対策におけるリーダーシップは米国からアジアにかわるだろう。なかでも、中国が(リーダーシップを握る)最も可能性が高い」と評した。

 しかし実際、李首相とEU首脳の間では反ダンピングンなどの貿易問題で対立し、今後中欧が協力関係を強められるかどうかは不明だ。

「反ダンピング」と「市場経済地位」で対立

 2日に行われた中国EU首脳会談では、両政府は反ダンピング(不当廉売)と中国に「市場経済地位」を認めるかどうかについて、論戦があったという。

 『中国の世界貿易機関(WTO)加盟議定書』第15条は昨年12月に期限を迎えた。これにより、中国は関係各国から「市場経済地位」を認められ、反ダンピングなどの制約を受けなくなり、中国輸出入は今後より多くの恩恵を受けるとみられていた。

 しかしEUは2日、中国が市場開放しておらず、また、依然として鉄鋼や他の製品を不当に安くしてEUに輸出していると挙げて、中国側がこれまで求めてきた「市場経済地位」の認定を再び見送り、今後も中国の安価な鉄鋼材などに対して反ダンピング関税措置を実施し続けると表明した。

 朝日新聞によると、李克強首相はEU側の決定に非常に不満を示し、予定された「パリ協定」に関する中国とEUとの共同声明発表を拒否した。

 また米メディア「ポリティコ」(POLITICO)によると、欧州理事会議長のドナルド・トゥスク氏は中欧首脳会談において、「中国の過剰な鉄鋼生産量は現在EUの総生産量の2倍以上だ」と指摘し、中国側に対して解決策を求めた。しかし双方は共通認識に達成できず、会談後の共同記者会見は予定より3、4時間遅れたという。

 「ポリティコ」は、李首相の訪欧で中国とEUの貿易分野における深い溝があらためて浮き彫りになったとし、両政府が一段と密接な政治協力関係を結ぶのが実際難しいと評した。

EUは依然として米国と同盟関係にある

伊シチリアのタオルミーナで5月26日、G7サミットが開かれた。各国首脳らは古代ギリシャ劇場で撮影。左から、加ジャスティン・トルドー首相、ドナルド・タスク欧州理事会議長、独アンゲラ・メルケル首相、米ドナルド・トランプ大統領、伊パオロ・ジェンティローニ首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、安倍晋三首相、テリーザ・メイ首相、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長(Philippe Wojazer / AFP / Getty Images)
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