踊っている

キンチャクガニ 海の中のチアガール

両手にポンポンを持つチアガールのようなカニ。名前はキンチャクガニ(Lybia tessellate)で、ボクサーガニ(boxer crab)とも呼ばれます。実はカニがイソギンチャクを鋏脚(はさみ)で挟んでいるだけで、写真では「ポンポン」のように見えます。

キンチャクガニはなぜ「ポンポン」を持つのでしょうか?それは、イソギンチャクの触手が毒液を分泌しているから。キンチャクガニはそれを武器にして、外敵から自分を守っているのです。一方、イソギンチャクはキンチャクガニが食べ残した餌をお裾分けしてもらえるので、おとなしくキンチャクガニに振り舞わされています。両者はウィンウィンの共生関係を築いています。

研究データによると、片方の「ポンポン」を失ったキンチャクガニは、もう片方の「ポンポン」を二つにちぎり、両手に持ちます。すると、「ポンポン」は再生し、元の大きさに成長します。また、両方の「ポンポン」を失ったキンチャクガニは、同類から「ポンポン」を分けてもらうこともあります(または奪い取る)。丸ごと一つでも切れ端でも、ポンポンは再生して同じ大きさになります。

キンチャクガニが持つイソギンチャクは「カサネイソギンチャク(Triactis product)」という種類で、キンチャクガニに挟まれると突起が消失し色が白くなります。白く変化したイソギンチャクをカニから外して自由にすると、元の状態(褐色で掌状の突起を持つ)に戻るという研究報告があります。

(翻訳編集・豊山)