下町文化

しっとり涼やか 薄紫と紫紺の花菖蒲=堀切菖蒲園

江戸の名所の一つとして古くから親しまれてきた堀切の花菖蒲。5月30日から6月18日まで、「葛飾菖蒲まつり」が開催され、堀切菖蒲園(東京都葛飾区)と都立水元公園で、白、薄紫、紫紺の色が涼やかな花菖蒲を鑑賞できる。

花菖蒲はアヤメ科、英名はアイリス。初夏から梅雨時にかけて湿地に咲く。堀切菖蒲園では約200種6000株、水元公園では約100種1万4000株の菖蒲が咲き誇る。期間中の日曜日はイベントが開催され、太鼓や琴の演奏、地元小学校や東京都消防庁らマーチングバンド、出店で賑わう。

葛飾区観光課によると、江戸時代から知られる堀切の花菖蒲は、浮世絵師・安藤広重や歌川豊国も錦絵の題材にした。堀切への花菖蒲の伝来は明らかになっていないが、19世紀初頭の文化年間(1804~1817)には同地で農民が栽培しており、江戸末期には花菖蒲を親しむ庭園が存在した。

(文・佐渡道世)