焦点:隠れた「トランプ効果」、アメリカ人の生活に変化の兆し

2017年10月02日 10時55分

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は目玉公約こそ達成できていないが、実は既にさまざまな形で米国民の暮らしを変え始めている。就任からの9カ月でトランプ氏は積極的に規制撤廃に動き、大統領命令を発したり環境基準を修正してエネルギーから航空まで各種業界のルールを書き直してきた。

政権は内部で足並みがそろわず、トランプ氏自身の決定も衝動的で気まぐれな面があるとはいえ、米国の社会と経済への影響は幅広く、持続性を持つ可能性がある。

こうした変化の一部は大きなニュースとして伝えられている。しかしその多くは、日々の論争やトランプ氏によるツイッターの「炎上発言」などに紛れて気づかれないうちに進行している。

例えば、石油はいつの間にか「ダコタ・アクセス・パイプライン」を通って輸送されており、米国内で生活する不法移民の拘束件数は増加した。石炭採掘に開放される連邦政府所有地はより多くなっている。

もう少し細かい面でも、オバマ前政権時代に制定されたいくつかの規則が撤回されたり、導入が先送りされた。これには退職者の貯蓄を無節操な金融アドバイザーから守るためものや、インターネットのプロバイダーによる顧客の個人情報利用を制限したものなどが含まれる。

いずれもトランプ氏が約束した派手な政策変更に比べると目立たないものの、実際の効果という点では遜色はない。保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)の政治アナリスト、ノーム・オーンスタイン氏は「トランプ氏はすさまじいほど多くの政策を生み出し、同時に解体している」と指摘した。

トランプ氏は、医療保険制度改革(オバマケア)改廃やメキシコとの国境の壁建設などの問題で議会の承認を得られず窮地に追い込まれたことで、行政権限の行使に活路を見出した。

その権限の範囲内でこれまでに数百の規制や規則を撤廃し、47の大統領命令に署名したほか、オバマ前政権終盤に承認された規制を無効にするために「裏技」とも言える議会評価法を14回も適用した。この法律は、16年前に一度使われて以来ずっとほこりをかぶっていた。

<役所を規制>

トランプ政権は発足からの半年間で、前政権時代の規制措置800件余りを撤廃するか、導入を遅らせた。また個人の自由を最大限尊重するリバタリアン系のシンクタンク、コンペティティブ・エンタープライズ・インスティテュート(CEI)によると、既存の規制撤廃や延期を目的としたものも含む新たな規制の提案件数は、前年同期比で32%減少し、ジョージ・W・ブッシュ政権とビル・クリントン政権の最初の半年よりも少ない。

一方でトランプ氏は連邦政府機関に対して、新しい規制を1つ策定する場合は2つの既存規制廃止を義務付けるなどの制約を設定している。CEIの政策担当バイスプレジデント、ウェイン・クルース氏は「ロナルド・レーガン政権以降で最も大幅な規制撤廃の動きになっているのは間違いない。トランプ氏は今のところ、一般国民よりも役所を縛ろうという姿勢だ」と話した。

多くの企業経営者は、トランプ氏が経済活動を阻害していると自身でみなす政策を廃止する、という約束を果たそうとしていることに拍手を送っている。ただ、環境規制や労働者保護規制を減らすこうした動きは国民の健康や安全よりも企業利益を優先し、支援してくれた労働者層へのアピールにトランプ氏が掲げてきた公約とは完全に矛盾するとの批判もある。

<実質的成果>

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