中国当局、2016年に米諜報員を成都で拘束=米紙

2017/10/13
更新: 2017/10/13

米政治紙「ポリティコ」によると、中国四川省成都で2016年1月、中国当局が米諜報機関(CIA)の関係者とみられる米国人の男性を拘束し、数時間も尋問した。男性は拘束された翌朝には米領事館員に救出され、まもなく帰国したという。

ポリティコは、複数の米政府関係者からこの連行事件について確認をとったという。米中両政府が事件については公表せず、沈黙を貫いたのは、2016年は米大統領選挙を控えた重要な時期であったため、国際関係をめぐる騒動を起こすことを避けたのだという。

記事によると、男性は、成都市内の通りを歩いていたところ突然、当局者の乗るバンに強引に押し込まれ連行された。

中国で滞在を経験した別の米政府関係者は、中国国内の監視システムの脅威を指摘する。「彼らはわれわれが、いつ、どこで、何をしているのか、すべて把握している」。

参考記事:人工知能監視システムを実現 ビッグブラザー社会に向かう中国

米国人が横暴に拉致されたことに、米政府は中国側に強く抗議しており、一部の関係者は米国内の中国政府関係者の国外追放も検討していた。米国のある政府関係者は「ワシントンと北京の間で最近、猛烈な諜報戦(スパイゲーム)が起きているが、両国は公表していないため水面下の動きに終始している」と述べた。

明らかになった米中スパイゲームの事例もある。米連邦捜査局(FBI)は今年6月、米国務省・外交保安局の元特別捜査官ケビン・マロリー(Kevin Mallory)氏を「スパイ防止法」違反で起訴した。FBIによると、マロリー容疑者は中国政府系シンクタンク・上海社会科学院の男性2人から専門の通信機器を受け取り、2万5000ドル(約280万円)の報酬を得た。

ポリティコは、「スパイを養成する中国の計画は、米国の規模をはるかに超える」と指摘する。米政府はとくに、2015年に中国側のハッキング攻撃で連邦政府の機密情報などを管理する米国人事院の情報が盗難された例を重くみているという。米メディアによると、この事件では2500万人の政府機関職員や契約業者らの社会保障番号、指紋情報、学歴や職歴、家族や交友関係などを含む機密性の高い個人情報が盗まれた。

(翻訳編集・佐渡道世)