大紀元コラム

党大会中に挑発を止めた北朝鮮 取引があった可能性も

2017年10月30日 20時00分

 

海外メディアの多くは、18日の中国党大会開幕式の前に、北朝鮮がまたミサイル発射実験を行う可能性が高いと推測した。しかし、なぜ中国党大会の前後に、北朝鮮はミサイル発射実験を強行しなかったのか?なぜ、習近平氏の再任で送った祝電で「伝統的な友好」の代わりに「両国人民の利益」と強調し始めたのか?

 まず中国最高指導層が、北朝鮮に対してより強い警告を発した可能性が高い。中国の党大会をかく乱するような真似を絶対許さないと、金正恩委員長らに念押ししただろう。

 中国共産党指導部は、この数十年間にわたって北朝鮮への食糧援助と石油の提供に反対したことがない。しかし、金正恩政権が中国共産党内の権力闘争に関わっていれば、話は別だ。習近平指導部として、対北の食料などの提供などは再検討しなければならないであろう。

 また、習近平陣営と党内最大の政敵である江沢民派閥との間で、何らかの妥協案を成立させたことがもう一つの理由であろう。

 習近平氏は、2012年に総書記に就任してから、北朝鮮金政権と距離を置いてきた。理由は2つある。一つ目は金正恩委員長は、叔父である張成沢氏を含む朝鮮労働党内の親中派を粛清してきたことだ。2つ目は、江派閥らは北朝鮮金政権を操って、習近平氏を困らせる様々なトラブルを作ってきたことだ。北朝鮮が2013年に実施した核実験の背後に江派人員の影があった。江派は過去十数年に北朝鮮高層部と非常に親密な関係を維持していたことも周知の事実だ。

 習近平氏と江派閥と金正恩委員長との関係を理解する上で最もわかりやす事例は、今年5月14日に実施された北朝鮮のミサイル発射実験だ。この日は、北京で「一帯一路」経済圏構想に関する国際会議が開幕した。この「一帯一路」構想は習近平氏が提唱した重要な外交・経済政策の一つだ。北朝鮮のミサイル発射によって、国際社会での習氏のメンツが潰されたのだ。江派の後ろ盾がなければ、金正恩委員長は中国共産党の総書記である習近平氏に対して挑発する勇気がないだろう。

 一方、今月25日中国最高指導部である中央政治局常務委員の新メンバーの顔ぶれをみると、習近平氏の右腕である王岐山氏も、江派閥の重要人員もいなかった。事前、多くのメディアは習近平氏は党内「68歳定年制度」との慣例を廃止して、王岐山氏を最高指導部に留め、再任させると予測していた。

 王岐山氏が指導部から去ったことは、激しい派閥闘争の中で習近平氏が江派に一定の譲歩をしたと言える。反腐敗運動で多くの江派人員を摘発した王岐山氏に対して江派らは極めて強い恨みを持っている。王氏の退任は、江派にとって目的が達成したことになる。またこれが理由で、江派に近い北朝鮮金政権が中国党大会の間に挑発行為を止めたに違いない。

 中国当局が金正恩委員長の祝電に冷たい反応を示したのは、上述の背景があると考えられる。中朝関係が冷え込んでいるが、中国当局は地政学上自らの利益を守るために、まだ北朝鮮を完全に見捨てることができない。中国当局が最も目にしたくないことは、米韓両軍が朝鮮半島を完全に掌握することだ。

 11月トランプ米大統領が訪中する予定で、習近平氏との間で北朝鮮問題を中心に協議していくとみられる。2期目の任期を開始した習近平指導部が引き続き米国と協力するのか、中朝関係がどう変化するのかに、世界各国からの注目が集まっている。

(時事評論員・周暁輝、翻訳編集・張哲)

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