アングル:サウジ汚職摘発、不正海外資産の没収なぜ難しいか

2017年11月15日 18時00分

Saeed Azhar and Joshua Franklin

[ドバイ/チューリッヒ 9日 ロイター] - サウジアラビアは、汚職の取り締まりで拘束された数十人に上る上級官僚や実業家の資産を没収する予定だが、過去に不正資金の回収を試みたアラブ2カ国の例を見れば、それが容易な道ではないことは明らかだ。

エジプトとチュニジアにおける過去の経験に照らせば、サウジアラビア政府が海外で保管されている不正取得金を取り戻すには、何年もの法的・外交的な苦闘が必要になりそうだ。

しかも、それで成功する保証はない。

サウジの王族や、大物実業家、閣僚らを今月拘束したムハンマド皇太子が主導する汚職対策委員会は、国王令に基づき、刑事捜査の結果を待つことなく、彼らの保有企業や資金、その他の資産を没収するために「必要とされる全ての手段」を行使する権限を与えられている。

湾岸諸国ではすでにオフショア資産調査は開始されており、サウジアラビアと定期的に情報共有を行っている。

アラブ首長国連邦(UAE)の中央銀行と証券規制当局は、すでに国内金融機関に対し、サウジ国籍19人の口座に関する情報提供を求めている、と銀行関係筋が9日、ロイターに語った。

サウジの汚職対策委員会は、拘束された各個人の容疑について詳細を明らかにしていないが、同国当局者は、資金洗浄や贈収賄、強要、私的な利益のための公権乱用などだと説明している。

サウジ政府は資産押収のスケジュールを明らかにしていないが、銀行関係筋によれば、中央銀行からの要請に応じて、すでに1700件以上の国内銀行口座が凍結されているという。

贈収賄から違法な土地収用に至るまで、腐敗で失われた資金を汚職対策委員会がすべて回収しようと試みれば、その総額は8000億ドル(約91兆円)に達すると、リヤド商工会議所の担当者は推計する。

こうした不正資金のうち、かなりの額が海外の銀行口座、ポートフォリオ投資、企業株式や不動産といった形で保有されていると金融関係者は明かす。拘束された実業家の多くは自家用機を保有。なかには、ボーイング747旅客機を保有する者さえいる。

全米経済研究所によれば、サウジ国民はGDPの55%以上に相当する資産、金額にして3000億ドル超を、海外のタックスヘイブン(租税回避地)に隠匿してきたと試算している。

だが、エジプトとチュニジアの経験に基づけば、資産凍結の措置自体は数カ月以内に手配できるとしても、資金を本国に返還させるには多くの年数を要する可能性がある。

エジプト政府は、ムバラク元大統領の側近が英国の銀行口座に保有していた約8500万ポンド(約126億円)を回収するため5年間尽力したが、成功しなかった。

英国側の当局者は、英国法を順守するため、エジプト側にはまず刑事上の有罪判決を提示してもらう必要がある、と述べている。

チュニジアの場合は、「アラブの春」を巻き起こした2011年の革命後、スイスに約3500万ドルを返還するよう求めたが、これまでに回収できたのはごく一部にとどまっている。

<詳細な証拠が必要に>

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