英とEU、離脱交渉で合意先送り アイルランド国境問題が障害に

2017/12/05
更新: 2017/12/05

[ブリュッセル 4日 ロイター] – 英国の欧州連合(EU)離脱交渉は4日、アイルランド国境問題で前進の可能性が伝えられたが、合意を見送った。EU離脱後の英領北アイルランドにEUルールを適用し続けるとする、英政府とアイルランド政府との暫定合意に北アイルランド側が反発したため。

双方は協議を継続し、数日以内の合意を目指す考え。

英国のメイ首相はこの日、欧州委員会のユンケル委員長とバルニエEU首席交渉官と昼食会で会談。来週14─15日のEU首脳会議で通商協定など将来の関係を協議する第2段階に交渉を進めることを目指し、その前提となるアイルランド国境問題の解決策などを協議した。

しかし、英政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)は、英国本土のルールからの逸脱は受け入れないとして、英政府の提案に反対する考えを表明。一時的に高まっていた「ソフトブレグジット」への期待感が後退し、ポンド相場も上昇から下落に転じた。

会談後、メイ首相とユンケル氏は、離脱交渉は次の段階に進めるほど十分に進展していないとの考えを示し、EU首脳会議前のあと数日以内に合意する可能性があるとの見解で一致した。

ユンケル氏は記者団に、合意先送りについて「失敗でない」と述べ、未決着問題は2━3項目であり、双方の溝がかなり埋まったと説明。EUに週内の交渉再開用意があり、首脳会議前の十分な進展を引き続き確信しているとも述べた。

EUのトゥスク大統領はメイ首相と会談後、交渉日程が非常にタイトとなるなか、通商協議入りに向け、来週までに合意することはなお可能との認識を示した。

一方、アイルランドのバラッカー首相はダブリンで会見し、「英政府がきょうの合意を最終合意とできない状況にあることに驚き、失望している」と述べた。

メイ首相の保守党政権が下院で過半数議席を維持するためにはDUPの協力が欠かせない。

DUP筋によると、同党のフォスター党首は4日、国境問題を巡る英政府の提案への反対を表明した直後にメイ首相と電話で協議したもよう。

*内容を追加しました。

Reuters
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