THE EPOCH TIMES

特別リポート:フィリピン麻薬戦争、防犯カメラに映った真実

2017年12月07日 10時00分

今回の事件発生の前日となる10月10日には、ドゥテルテ大統領が、麻薬撲滅作戦は、国家組織であるフィリピン麻薬取締庁に任せるよう警察に指示していた。

同大統領が警官に対して麻薬戦争の遂行をやめるよう公式に伝えたのはこれで2度目だ。1月後半には、警官が韓国人ビジネスマンを拉致、殺害したと報じられたことで、警察による作戦中止を発表。だが1カ月後には、麻薬が再び出回り始めたとして、それを撤回している。

「正確な説明責任に注意を向けることで、この麻薬取り締まり作戦・キャンペーンに秩序をもたらしたい」とドゥテルテ大統領は直近の通達で述べている。

警察による残虐行為に対する世論の批判が高まるなか、今回の発表は行われた。マニラの世論調査会社ソーシャル・ウェザーステーションズによる調査では、警察への不信や、その残酷な手法に対する不安が高まっていることを示している。フィリピン社会に強い影響力を持つカトリック教会も、こうした警察手法を批判している。

警官や自警団による殺害を撮影した防犯カメラ映像がオンラインで出回たことを受けて、大統領の血なまぐさい麻薬戦争に対する国民の不安は高まっている。8月には、17歳の男子学生キアン・ロイド・デロス・サントスさんの殺害映像が公開され、目撃者の証言を裏付けたことで暴動が発生した。

警察はこの時、サントスさんが発砲してきたため、正当防衛で撃ったと説明していたが、目撃者は、丸腰の少年をマニラ北部のゴミだらけの路地に連れ込んだ警官が、少年の頭部を撃ったと主張していた。

公開された映像には、少年の遺体が発見された場所に、警官2人が誰かを引き立てていく場面が映っていた。少年の葬列は、麻薬撲滅戦争に対する過去最大の抗議行動へと発展した。

今回19区の映像に映っていた警官は、報告書によれば、マニラ第2警察署の麻薬対策部門所属だという。映像にハッキリと映っている15人の警察官のうち、マスクを着用しているのは1人だけだ。

同報告書によれば、ロランド・カンポさん(60)から麻薬を買った覆面捜査官が、応援を求める合図を出したところ、カンポさんが「(警官の)気配を察し」、仲間のシャーウィン・バイタスさん(34)とロニー・セルビトさん(18)に銃を抜いて撃つよう命じた、とある。

警察は反撃し、3人が「致命傷を受けた」というのがその内容だ。

だが映像を見ると、カンポさんは警察が到着する数分前に近所の人々と談笑しており、報告書にあるように覆面捜査官に麻薬を売っている様子はない。

<「命令に従っただけ」>

警察の作戦も、おとり捜査のようには見えない。映像に映る警官たちは、ほとんどが私服で、その大半は明らかに武器を携行しており、一部は防弾ベストも着用している。彼らはカンポさんやバイタスさんの住む路地を通ってこのエリアに入った。銃撃が始まる7分前、彼らは犠牲者の家からよく見える場所を通過している。

バイタスさんの妻アーリーン・ギバガさんは、銃撃を目撃したとロイターに語り、殺された3人の男性は丸腰だったと述べた。3人の幼い子どもを持つギバガさんは、「銃を買うような余裕はない」と言う。また、夫のバイタスさんは、麻薬取引を行っていないと述べた。

自宅隣の路地に住む男性を拘束した警察は、彼女にバイタスさんの身分証明書を提出するよう求めたという。彼女が夫の身分証明書を提示すると、警官1人が「確定だ」と叫び、警官たちはバイタスさんに発砲を始めた、とギバカさんは語る。

警察官たちがバイタスさんを撃つのを見て、「夫に何をするの」と悲鳴を上げた彼女は、「報告してやる。ここには防犯カメラがあるのだから」と叫んだ。すると、警察官1人が今度は彼女に銃を向け、家に入るように告げたという。

映像には、警官が3人の男性を撃つところは映っていないが、警官1人が、画面外の標的に対して射撃を開始しているように見える。それからカンポさんが仰向けに倒れる格好で画面に入り、地面に叩きつけられた。彼の腕はしばらく動いているが、やがて動かなくなった。

1分も経たないうちに、銃撃場面を捉えたカメラは実質的に機能しなくなった。誰かがカメラを壁側に向けてしまったのだ。2番目のカメラには、警官が手を伸ばし、カメラの向きを動かす様子が映っている。

パスキュアル署長は、カメラの向きを動かしたのは「正当な治安上の理由」によるもので、作戦に邪魔が入らないためだと言う。

署長は声明で、報告書の説明を繰り返した。「容疑者がまず銃を抜いて、捜査員を撃った」ため、正当防衛で撃ち返した、というものだ。

ギバガさんはその日遅く、マニラ第2警察署で「苦情を申し立てても無駄だ」と署員に言われたと語る。その署員は彼女に、「あなたが戦おうとしている相手は政府だ」と告げたという。「私たちに腹を立てないでくれ。単に命令に従っているだけなのだから」

(翻訳:エァクレーレン)

 

 11月27日、警察の報告書は明快だった。フィリピン首都マニラの貧困地区で、3人の男性に麻薬取締官が発砲して負傷させ、病院に「緊急搬送」したが、運ばれた時にはすでに死亡していた、と記してある。写真は犠牲となった男性2人の通夜に出席する子どもたち。マニラで10月13日撮影(2017年 ロイター/Dondi Tawatao)

 

 11月27日、警察の報告書は明快だった。フィリピン首都マニラの貧困地区で、3人の男性に麻薬取締官が発砲して負傷させ、病院に「緊急搬送」したが、運ばれた時にはすでに死亡していた、と記してある。写真は犠牲となった男性2人の通夜に出席する子どもたち。マニラで10月13日撮影(2017年 ロイター/Dondi Tawatao)

 

 11月27日、警察の報告書は明快だった。フィリピン首都マニラの貧困地区で、3人の男性に麻薬取締官が発砲して負傷させ、病院に「緊急搬送」したが、運ばれた時にはすでに死亡していた、と記してある。写真は犠牲となった男性2人の通夜に出席する子どもたち。マニラで10月13日撮影(2017年 ロイター/Dondi Tawatao)
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