THE EPOCH TIMES

特別リポート:フィリピン麻薬戦争、防犯カメラに映った真実

2017年12月07日 10時00分

Clare Baldwin and Andrew R.C.

[マニラ 27日 ロイター] - 警察の報告書は明快だった。フィリピン首都マニラの貧困地区で、3人の男性に麻薬取締官が発砲して負傷させ、病院に「緊急搬送」したが、運ばれた時にはすでに死亡していた、と記してある。

だが、ロイターが入手した防犯カメラによる映像を見ると、10月11日正午過ぎにバランガイ(最少行政区)19区で発生した状況は、彼らの説明とまったく異なっている。

映像では、負傷した男性たちを警官が運び出すまでに、少なくとも25分かかっている。病院に搬送するために、彼らの腕と足を持った警官たちが、ぐったりした身体を人力三輪車に運び入れる様子が映し出されているが、生きている兆候は見受けられない。

フィリピンのドゥテルテ大統領が昨年6月の就任以来、最重要課題として掲げている「麻薬撲滅戦争」に取り組むなか、この映像は、警官による殺害に関する公式見解の信ぴょう性に対して、新たな疑問を投げかけている。

ロイターは6月、麻薬取り締まり作戦を遂行中の警官から銃撃され、病院搬送時に死亡した犠牲者が、数百人に達していると報じた。

救命に努めたと警察は説明するが、遺族や目撃者は、殺害現場を混乱させ、司法手続きを経ずに「処刑」した事実を隠ぺいするために、警察が遺体を病院に運んでいる、と主張している。

就任以来ドゥテルテ大統領が率いる麻薬撲滅作戦の下で、警察は少なくとも3900人を射殺。すべて正当防衛だった、と説明している。自警団員によるものとみられる数千人の殺害についても、人権活動家は警察の関与を主張するが、当局は一切の関与を否定している。

今回防犯カメラが捉えた現場にいた目撃者は、犠牲となった男性3人は、警察が説明するように正当防衛で撃たれたのではなく、処刑されたのだ、とロイターに語った。殺傷力のある武器の使用は正当防衛の場合に限ると警察は主張するが、ロイターの取材で、警官が裁判を経ることなく人々を処刑している状況が浮かび上がってきた。

防犯カメラの映像は、警察の説明と矛盾しているだけではない。

麻薬撲滅戦争で採用されている別の手法についての証拠も提示している。それは、こうした犯罪現場で、警官の手により防犯カメラが無力化されているという実態だ。防犯カメラ4台で同時に撮影された今回の映像では、警官1人が、その場を捉えていたカメラの向きを変えて、現場が映らないようにしている様子が記録されていた。

警察は、自分たちの行動を暴露する映像の危険性を理解している。麻薬撲滅戦争に従事する現役指揮官は今年、麻薬撲滅戦争で殺害を計画する地域では、地元当局者と共謀して防犯カメラの電源を切っている、とロイターに語っていた。

ロイターは4台の防犯カメラすべてから映像を入手。それぞれが違う角度から現場を捉えているおり、警察による作戦の一部始終を示す、かけがえのない記録となった。今回の事件映像はすでにフィリピンの放送局GMAによって一部が放映されている。

今回の取り締まりを遂行した警察署のサンチアゴ・パスキュアル署長は、「作戦は適法なものだ」とロイターに回答。内部調査では署員が適切な執行手続に従っていたことが分かっており、丸腰の男性に対して警官が銃撃したいう目撃者の証言は「不正確で根拠がない」と断じた。

<高まる不安>

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