フィリピン共産党のゲリラ組織「新人民軍」の兵士(NOEL CELIS/AFP/Getty Images)
共産主義の退潮

フィリピン、共産党とゲリラ部隊をテロ認定 大量逮捕も示唆

フィリピンドゥテルテ大統領は12月5日、共産党とそのゲリラ部隊「新人民軍」をテロリストに位置付けるとの宣言に署名した。大統領によると、共産党勢力は数十年にわたり政府転覆を画策し、多数の軍・警察関係者と一般市民を殺害してきた。両組織は米国政府により2002年にテロ組織と認定されている。

大統領は警察当局に向け、新人民軍を大量逮捕する命令を下すことも辞さないと述べている。「活動する者たちはそのうちゼロになる。私は大量逮捕を命じるだろう」と述べた。

また、共産党とそのゲリラ部隊に対して警告を発した。「法の支配と法律を遵守しないのであれば、逮捕され刑務所に入るのは当然だ。暴力的な抵抗をして、国民の命に危険が及ぶのであれば、兵士、警察は相応の行動を取る」。

フィリピン南部における対テロ戦争は終盤を迎える。中央通信社の報道によるとドゥテルテ氏は11月18日、ダバオ市のイベントに出席し、人民軍が基礎インフラを破壊し平民を殺戮することにはうんざりしており、新人民軍が生後4か月の幼女を殺害するという最近の事件に憤りを感じていると述べた。

ジャングルで活動する共産党ゲリラ「新人民軍メンバー」(NOEL CELIS/AFP/Getty Images)

フィリピンでは2012年にテロ資金調達防止法が可決している。テロ組織や指定された人物は、国内外の財産が没収される。

フィリピン共産党指導者ホセ・シーソンの教え子であったこともあり、ドゥテルテ氏は当選後、フィリピン共産党と和解しようと試みた。しかし、共産党や左翼ゲリラは400人もの逮捕者の釈放を求めながらも、反政府活動や襲撃を止めなかった。ニューヨーク・タイムズによると11月29日、首都マニラで共産主義者によるゲリラ活動があり、軍が鎮圧した。同日、政府は和平交渉を停止したと発表した。

フィリピン共産党がテロ組織として認定されれば、組織員は内乱罪のみならず、テロ活動や殺人、放火等の重罪で起訴される可能性もある。ドゥテルテ氏はまた、共産党と深く関わりがある「新愛国聯盟(Bayan)」等の左翼組織をも瓦解させると発言した。

公式に組織または個人をテロリストと認定するには、司法省が裁判所に申請する必要があり、認定には一定の期間を要する。最近ではIS関連が疑われる過激派組織「アブ・サヤフ」が2015年9月にテロ組織に初認定された。

(翻訳編集・文亮/佐渡道世)

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