THE EPOCH TIMES
医山夜話

薬物依存

2017年12月10日 07時00分

 人間は意志が強くなければ、何かに依存しやすいものです。最初はよいものだと思い、少なくとも悪いものだとは思っていなかったのですが、いったん引っかかると、やめようとしてもやめられなくなります。時には、そのために命まで奪われることもあります。このような最悪の結果は、事前に予測することができません。

 鎮痛薬を頻繁に服用し、とても危ない目に遭った患者の事例を紹介しましょう。

 テーラーは数年前に腰を捻り、痛み止めのアスピリンを飲み始めました。最初の規定量は1時間に1~2錠だったのですが、徐々に1時間に10錠とどんどん量を増やしていきました。その後、腰痛は足にまで影響し、片足に痛みや痺れ、坐骨神経痛も現れました。彼女が飲む鎮痛剤もランクアップし、薬局で誰もが買えるような普通の鎮痛剤は効かなくなりました。

 鎮痛剤の効き目を10ランクに分けると、最も低いランクのものはアスピリンです。最高ランクはモルヒネやヘロインで、幻覚を引き起こし、現実社会から遊離した感覚を覚えます。このような薬物は数時間経てば薬の効力がなくなり、また現実に戻ってきます。

 かつてテーラーはイブプロフェン(消炎鎮痛薬)を飲んでいましたが、なぜか痛みは少しも軽減しませんでした。医師は、彼女の腰痛は子宮筋腫によるものと判断し、彼女の子宮を摘出しました。前後に4回の手術をし、痛みの原因と思われるすべての要素を排除しました。

 薬物の副作用により、彼女の体の機能は乱れ、各種の奇怪な病状が次々と現れました。一方、痛みは一向に治まらず、彼女が飲む鎮痛剤も絶えずランクアップしていきます。2年間で、彼女の体重は22キロも増えてしまいました。薬の量が増えるにつれ、彼女の痛みに耐える力はかえって弱くなり、ほんの少しの痛みでも彼女は気絶してしまいます。彼女は薬を手に入れるために罪を犯してもおかしくないほど、薬物に依存しました。

 彼女は毎週のように医者を変え、1日おきに理由を作っては薬の処方箋を出してもらい、1週間で3枚の処方箋をもらっていました。医者の間では情報交換することがなく、特に患者が何も言わない場合、患者の服用している薬を把握することは困難です。彼女が薬を過剰に使用していることを察知したのは薬局でした。短期間に複数の処方が出ていることを不審に思った薬局が調べると、10数人の医者が別々に処方していることが分かりました。一日にテーラーが飲んでいる薬の量は、10人を3日間熟睡させることができるほどでした。

 その後、かかりつけの医師はすべての薬を止め、彼女を私のところへ紹介しました。

 かかりつけの医師は電話で私に告げました。「彼女をあなたのところに紹介した私のことを、無責任な医師だと思われるかもしれません。最初の単純な腰痛から、こんなにやっかいな病にまで発展させたことに、自分の責任を感じています。もう一歩進んだら、彼女は精神科の患者になってしまうでしょう」

 テーラーは、号泣しながら私に話しました。「私はすでに2年間も苦しめられて、たくさんの週末を救急治療室で過ごしました。薬のせいで、気がついたら私は家の玄関の外に座って、アイスクリームを食べている時もありました。どのように家に帰ったのか、どうして玄関の外に座っているのか、自分にはさっぱり分からず、少しも記憶がありません。恐ろしくなって冷や汗もかきました。いったいこれは何の病気なのか、私に教えてくれた医師は誰一人いませんでしたが、みんな私が精神異常を患っていると思っています。痛みは存在せず、すべては私の心理作用によるもので、麻薬依存のように私は鎮痛薬に対して依存症になったと言っています」

 鍼灸であなたの腰痛を全治できるかもしれない、と私は彼女を慰めました。何本かの鍼を刺すと、彼女は落ち着きました。

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