THE EPOCH TIMES
臓器移植法20年

厚労省、海外渡航移植に保険支給を検討「国の移植環境整備が先決」との声

2017年12月14日 20時16分

このたび厚生労働省の保険支給適用の条件は、1.海外渡航移植でなければ生存が不可能な患者に限定 2.臓器売買に繋がらないように海外で公的な待機者リストに掲載 3.日本と治療状況が共有可能な海外の受け入れ施設で臓器移植を受けた場合としている。

大紀元の取材に応じた、厚生労働省の保険局保険課規格法令係の増田係長は「海外渡航移植を受けた患者側は、海外療養費を申請する場合、臓器売買に該当しない手術であることを証明しなければならない」と述べた。

しかし、患者側が「違法でない」「臓器売買でない」という証明をするのは、日本との関連法を共有しない国の場合は困難を極める。

世界保健機関(WHO)は2010年、同様の方針を盛り込んだ新指針を出し、日本も同年、臓器移植法を改正した。現行の移植法では、臓器売買を禁じている。帰国後のアフターケアも、海外での違法性について病院側は判断が難しいため、海外渡航移植を受けた患者を受け入れるのには消極的だ。

都内の医師 中国移植渡航のリスクを患者に説明

ドナーの少ない日本で、待機期間は平均10年以上とされる。「世界一の移植大国を目指す」と豪語する中国に関心を寄せる移植希望患者もいる。東京都内の某大学病院に勤める移植医は、大紀元の取材に対し「自分の担当患者は、中国で臓器移植を受けたいと、渡航前に明かしてくれた」と話した。

この医師は担当患者に、こうした中国の移植渡航の違法性や、帰国後の治療は受け入れないことを説明したという。

医師は、欧州で開かれる移植学会に参加したとき、施設周辺で有志団体から、無実の罪で収容された「良心の囚人」が、移植用に臓器を強制摘出されているとの話を聞いていた。ドナーが少ないにもかかわらず、中国では爆発的に移植件数が増加していることに疑念を抱いており、同団体による違法な臓器取引に反対する署名にも参加していた。

海外渡航移植には、生命倫理が問われている。「検討が済み次第、速やかに変更したことを通知をしていきたい」と加藤勝信厚生労働相の保険支給を急ぐような姿勢に批判が相次いだ。下記の、Yahoo!ニュースの関連記事に寄せられたコメントは、1000以上の「そう思う」をクリックされ、共感を得ている。

「海外での臓器移植は当然待っている人からすれば藁をもすがるって分かるんだけど、その国にすれば国民に移植したいって思いはあるよね。そこを給付するのはまた違うんじゃないかと思います」

「2008年の国際移植学会にてイスタンブール宣言が成され、自国の患者は自国で移植するようにと、原則海外での渡航移植は禁止されることで合意されています。この宣言と今回の保険給付は逆行しており、世界的に見ても批判の対象になると考えられます。国内で移植が受けられるよう環境整備するのが先だと思います」

日本で移植法の整備に向けた動きは、全国の地方議会からの意見書提出という形では進展がみられる。名古屋議会は11月定例会で、臓器移植と環境整備について国に求める意見書が可決した。臓器の違法取引が疑われる外国渡航移植のリスクを指摘し、抑制を求める意見書は、日本の地方議会で4例目となる。

臓器移植法施行から20年。国民に信頼される安全な移植法の整備を、国は求められている。

おすすめ:患者の安全確保できない臓器移植ツーリズム対策求め 埼玉県議会で意見書可決

(文・佐渡道世)

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