THE EPOCH TIMES

一帯一路に蚕食された中南米 中国警戒論が台頭

2017年12月22日 08時00分

 一部の中南米の国は中国への警戒を高めている。

 VOAによると、ブラジルとペルーの両政府は今年9月、両国間の「南米大陸横断鉄道」の建設計画に関して、今後ヨーロッパの金融機関から融資を受けることで意見交換した。これまでに、中国当局は同鉄道建設に600億ドルの融資を提供すると意思を示した。

 一部の専門家は、「米国に代わって、中国当局の中南米での影響力が強まりつつあるが、実際は多くの中南米の政府は、経済・政治的に中国の付属国になりたくないと考えている」と評した。

 また、中国当局が中南米各国に約束した投資プロジェクトはすべて実行されたわけではない。最もいい例は、投資額500億ドルのニカラグア運河建設だ。「第2のパナマ運河」と呼ばれるこの運河は、2020年に完成する予定だが、いまだに本格的に着工していないという。建設工事を受注した中国企業の資金不足が主因とみられる。

 VOAによるとブラジルの学者は、中国当局がラテンアメリカにまで拡張する最大の狙いは、金属、鉱石、原油や大豆などの資源だと警鐘を鳴らしている。また学者は中国と米国を比較すると、「中国当局は人権・民主主義と道徳観などの面において差が出ている」と指摘した。

 一方、中国からのばく大な融資に苦しむ国も多い。石油輸出国機構(OPEC)加盟国のエクアドルはその一例だ。エクアドルは、前コレア政権で2009年、中国国営石油大手の中国石油天然気集団からの10億ドル規模の融資を受ける代わりに、生産した原油で返済するとの契約を結んだ。その後、中国企業からの融資がどんどん膨らんだ。

 ロイター通信などによると、エクアドルで生産された原油の9割は中国向けに輸出されている。しかし、過去1年間で原油価格が急落したことで、昨年1バレルの原油で返済でできた債務は、今年になると2バレルで返さなければならないという。

 独メディア「ドイチェベレ」によると、2013年8月に発表された中国・エクアドル融資報告書では、中国がエクアドルに貸した金額は90億ドルで、同国の国内総生産(GDP)の11%を占めた、と示された。

 中国国営石油企業は、ベネズエラに少なくとも430億ドルを融資し、エクアドルと同様に「原油・融資の交換」契約を結んだ。また、ブラジルでは、原油関連の融資が100億ドルだという。

 中国当局の資金はどこから

 中国国内では企業債務の急増など、多くの経済問題が山積しているにもかかわらず、中国当局は「一帯一路」構想で、中南米だけではなくアフリカ諸国や南アジアなど多くの国に資金を提供している。

 英投資銀行「グリソンス・ピーク(Grisons Peak)」のヘンリ―・ティルマン(Henry Tillman)氏は、中国当局の資金調達方法を考察した。

 英紙・フィナンシャルタイムズ(10月13日付)によると、ティルマン氏の調査結果では、中国主導のAIIBが2014年に設立された後、中国当局名義での「一帯一路」沿線国の融資が減り、84カ国・地域が加盟するAIIB(12月19日現在)の名義による融資が増えたことが明らかになった。

 ティルマン氏は、「現在の融資は、アジア・アフリカ・中央アジア・ラテンアメリカ諸国による混合融資となった。中には、世界銀行や他の金融機関による融資もある」と指摘し、「中国当局にとって、最大のリスク分散となった」との見解を示した。

 しかし、ティルマン氏はAIIBの融資がどのように返済されるかについては言及しなかった。

 中国当局がAIIB加盟国から調達した資金で、世界的な支配を実現しようとたくらんでいるかもしれない。


(翻訳編集・張哲)

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