THE EPOCH TIMES
医山夜話

夫婦喧嘩

2017年12月24日 15時00分

 白熱したケンカの原因は、パンを厚切りにするべきか、それとも薄切りにするべきかについての論争でした。

 ダイアナとスティーブはお互いに信仰や生活スタイル、観念が異なるため、ケンカはますますエスカレートしました。彼らは互いに攻撃しあい、荒っぽい言葉も口から飛び出して、二人とも顔面蒼白になりました。

 ダイアナは6カ月の娘を夫の手元に残し、2階へ上がっていきました。10分ほど経ち、娘の泣く声が聞こえきたので下へ降りてきたダイアナの目に映ったのは、夫の息苦しそうな光景でした。このようなことは過去にもありました。スティーブは、「119に電話してくれ、私はもうだめだ…」と彼女に頼んできましたが、ダイアナはあまり気にかけていませんでした。電話をかけた後でも、心の中では先ほどのケンカの場面を思い浮かべ、今度反論したらきっと彼の言い分がなくなる、と彼女は考えたりしていました。

 しかし、救急車で運ばれて1時間も経たないうちに、スティーブは心臓病発作で亡くなりました。彼はひと言も残さずに、この世を去りました。彼が厚く切ったパンは、そのままテーブルに残っていました。

 ダイアナはうつ病を治療するために、私の診療所に来ました。雨の降る日で、彼女はとても気を落としていました。

 「先生、人間は蘇って、もう一度生きることができますか?」

 「……」

 「もし私が再びスティーブと一緒に暮らすことができれば、きっと彼を大切にします…」。ダイアナは夫を失った後、彼の良いところをたくさん思い出したのです。

 「とても後悔しています」と言うと、彼女は声も出ないほど泣きだしました。彼女は、自分が人に厳しく、すぐに文句を言う性格であること、また頑固で怒りっぽく、何かあったらよく人のせいにすることなど、自分の欠点を挙げました。

 スティーブはもう、永遠に戻ってきません。友達には気楽に言えた「ありがとう」という言葉も、ダイアナは夫に言ったことがありませんでした。今はその言葉を心から言いたいのに、言うこともできません。彼女の後悔は、言葉で表現できるものではありませんでした。

 夫を亡くしてから、ダイアナはうつ病になり、またエリテマトーデス(自己免疫疾患の一種)にかかりました。この病は、悲しみ、悔やみ、自分の過ちを責めることなどが原因でかかります。彼女はますます困惑し、いろいろな治療法を探しましたが、病状は日ごとに重くなる一方でした。手の施しようがないところで、漢方を試してみようと思いたち、私のところへやって来ました。

 「こんなに多くの苦しみから、何かを習いましたか?」と私は聞きました。

 意外にも、彼女の答えは「自分を知ることができました」と答えました。

 「えっ?」

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