THE EPOCH TIMES

焦点:パキスタン海洋拠点に賭ける中国、巨額投資の落とし穴

2018年01月07日 18時00分

Drazen Jorgic

[グワダル(パキスタン) 17日 ロイター] - パキスタン南西部の小さな港町グワダルに、中国は惜しみなく巨額の援助を与えている。地元住民の心をつかみ、商業用の深水港を建設するためだ。しかし米国とインドは、この港がいずれ軍事用に利用される可能性があると危惧している。

この埃っぽい港町に、中国は学校を建設し、医師を派遣。さらに約5億ドル(約565億円)の無償資金協力を通して、新たな空港や病院、大学、そして切実に必要な水道インフラを整備すると約束している。アラビア海に突き出たグワダルの港は、石油や天然ガスを運搬するタンカーが往来する、世界で最も混雑した航路に面している。

この無償資金協力には、新国際空港の建設費2億3000万ドルが含まれており、これは中国が海外で行う支援の中でも最大級のものだと研究者やパキスタン当局者は指摘する。

グワダルにおける中国の積極的な支援姿勢は、他国で見せる普段のアプローチから一線を画しているかねてより西側諸国の援助スタイルを軽蔑する中国は通常、国営商業銀行や開発銀行を介した融資提供によるインフラ整備プロジェクトを重視してきた。

「これほど無償資金協力が集中していることに、本当に驚いている」と語るのはシンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドに所属し、ワシントンで活動する研究者アンドリュー・スモール氏だ。「中国はこれまで援助や無償資金協力をほとんど行わず、それらを実行する場合でも小規模になりがちだった」

パキスタンは諸手を挙げて中国の援助を歓迎している。

だが中国政府の異例な太っ腹ぶりに対し、グワダル投資は海洋における米国の優位に挑戦するために中国が画策する将来的な地政学的戦略の一環ではないかと、米国とインドは疑念を募らせている。

「中国の多くの人々にとって、長期的にグワダルが単なる商業的な対象ではないことを示している」と中国・パキスタン関係について著書もあるスモール氏は語る。ロイターはこの件について中国外務省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

グワダルは「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」の要石になると両国政府は考えている。CPECは、アジア、欧州、アフリカの60カ国にまたがる陸上と海上の交易路として新たなシルクロードを築こうと目論む中国の「一帯一路」構想の主要部分を占めている。

この計画ではグワダル港を貨物積み替えのハブとして変貌させ、経済特区と隣り合わせる巨大な港湾を建設、そこから輸出産業が世界各地に製品を出荷することを目指している。エネルギー資源用パイプラインや道路・鉄道網によって、この港町は中国西部地域と接続される。

港湾貿易量は2018年の120万トンから、2022年には約1300万トンに成長するとパキスタン当局者は期待する。港湾には新たなクレーンが3基据え付けられ、来年には浚渫(しゅんせつ)工事によって、港湾の水深は5カ所の埠頭で20メートルに達する予定だ。

だが、純然たる課題も残っている。

グワダルでは上水道が利用できず、停電も日常茶飯事だ。反体制的な分離独立主義者がこの中国プロジェクトに攻撃を仕掛ける可能性も示唆している。また、この町を含むバローチスターン州は豊富な鉱産資源を有するが、依然としてパキスタン国内における最貧地域だ。

治安状態は厳しく、中国人など外国からの訪問者は、兵士や武装警察の車列とともに移動している。

中国政府は、同州民が部外者に対して抱く不信感を取り除こうと努めている。現地のバローチ族は、他の民族集団や外国人の流入を警戒している。住民の多くは、変化のペースが遅すぎると語る。

グワダル選出の州議員Essar Nori氏は、「地元住民が完全に満足しているわけではない」と述べ、分離独立主義者がそうした不満につけ込んでいると付け加えた。

パキスタン当局者はグワダル住民に忍耐を求め、飲料水を確保するための脱塩プラントと発電所を早急に建造すると約束している。

<過去の教訓>

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