アップル、中国で国有企業にクラウド移管 ネットユーザ「政府へのバックドア」

アップルは9日、2月28日から「iCloud(アイクラウド)」データを中国の提携先で国有企業「雲上貴州」に移管すると発表した。中国で収集した顧客データの国内保存を義務付ける中国法律への対応としている。

中国政府は昨年6月にインターネット安全法を施行した。同法律によると、中国で収集したデータは中国で保存すること、海外に持ち出す際には当局による審査を受けることや、安全当局に技術協力などを提供することが義務付けられた。

アップルが中国初となるデータセンターの開設を発表したのは昨年7月。具体的な移管先を明らかにした今回の声明では、「強固なセキュリティを持ち、当社のいかなるシステムにもバックドアを設けない」と強調した。

しかし、検閲や情報統制の厳しさで知られる中国のインターネットでは、iPhoneユーザを中心に、情報安全を懸念する声が上がっている。「悲しい!」「移管すべきではない」「アップルは情報を政府に売った?」「政府へのバックドアだね」「つい中国の色に染まった」「(中国市場から撤退した)グーグルのような気骨はないね」「(アップルCEO)クック氏の共産党入党申請か」など、ネットでは不評が相次いだ。 

人権監視NGOフリーダムハウスの2017年世界インターネット自由度ランキングで、中国は調査対象国のなかで3年連続最下位を記録している。昨年12月、全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会の報告によると、ネット規制を本格化させた15年以降、1万3000のサイトを閉鎖、またはサイト運営許可の取り消し処分を行った。また、1000万のアカウントを停止した。

中国ネット規制、3年間で1万3千のサイト閉鎖と1千万のアカウント停止

貴州省政府出資のIT企業である雲上貴州(雲上貴州大数据産業発展)は2014年11月に設立、資本金を2.35億元(約40億円)とし、昨年7月にアップルとクラウドサービス事業での提携契約を結んだ。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
[香港 27日 ロイター] - 米国のロス商務長官は27日、中国との関係は現時点で極めて不均衡であり、自身が中国を訪れている間に米中のどちらも譲歩しなかったと語った。 特に市場アクセス、保護主義、知的財産が最大の課題としている。 一方で、米中の双方に率直さと寛容さが見られ、それぞれが立場を明確に示したことは良い兆しだとも述べた。 長官は香港で記者団に「中国については、同国に進出している企業や
[ニューヨーク 25日 ロイター] - 米国のロス商務長官は25日、トランプ大統領の11月上旬の訪中に関し、中国との貿易で「具体的な」合意を目指すことになるとの見通しを示した。ただ、市場アクセスといった主要な問題は成果を出すのに時間がかかると指摘した。 ロス氏はニューヨークのイベントで、トランプ氏の5月のサウジアラビア訪問中にゼネラル・エレクトリック(GE)とボーイング
米国通商代表は10日、中国知的財産問題の調査についての公聴会を開いた。出席した1業界団体は、中国の外資抑制ルールが、米国企業の知的財産と機密の盗用をうながしていると批判した。米ニューヨーク・タイムスなどが同日、報じた。