朝鮮半島 平昌オリンピック

韓国政府、北朝鮮五輪参加団の滞在費負担 ユニフォーム着用拒否の可能性も

2018/01/15
更新: 2018/01/15

1月9日に板門店で開かれた南北閣僚級会談で、北朝鮮平昌冬季五輪の参加が決まった。韓国の報道によると、韓国政府が北朝鮮の閣僚級、選手、応援など8つの分野にわたる最大規模の一行に対して、滞在費用を支援することに合意した。国際社会の北朝鮮に対する経済制裁には抜け穴となり、今後の歩みに北朝鮮が主導権を握る口実となる恐れがある。

韓国統一省は10日、実務協議を介して北朝鮮参加団の規模、費用支援の方法を具体化すると発表した。ただし、国連安保理制裁違反になるとの見方について、米韓政府関係者らは答えを保留している。

滞在支援は、具体的に食・宿泊・交通費用を韓国側が提供するということについて、複数の韓国メディアが各々の解釈を示した。北朝鮮は2002年釜山アジア競技大会を皮切りに、毎回参加するたびに滞在費を名目に現金を要求してきた。今回は安保理制裁のために、大量の現金支援(bulk cash)を禁じている。

争点その1 現金渡しでなければ制裁に違反していない?

制裁には実際、安保理決議に加えて米韓の両国政府が定めた独自制裁が含まれる。ハンギョレなど韓国革新系マスコミは、現金で渡さない限り、安保理制裁の違反にはならない点を強調。「一般的な解釈」では問題はないと主張した。これに対して、代表的な保守系メディア朝鮮日報は11日、制裁と北朝鮮支援との間に違反する可能性がある部分を①現金支援不可 ②航路、海路入国不可 ③米韓政府の制裁対象人物(チェ・リョンヘ等)④携行品検査の義務 の4つにまとめた。

文在寅(ムン・ジェイン)政権が国内外の批判を押し切って独自の制裁を緩和させ、陸路を通じて入国を許可しても、安保理制裁2270号に明記されている ④携帯品検査の義務に北朝鮮側が応じるかどうか未だ不透明だ。

争点その2 IOCがサポートすれば大丈夫?

国際オリンピック委員会(IOC)は今回の南北会談前から、これまで北朝鮮選手団へのすべての費用を支援する意思を表し、北朝鮮の平昌冬季五輪参加に積極的な態度を示してきた。しかし複数メディアの分析によると、北朝鮮選手団はフィギュアスケート部門、ショートトラック部門で合計10人程度と推定。最大500人規模とされる北朝鮮全参加団に比べて選手団は極めて少人数であり、残りの費用は統一省傘下の南北交流協力基金から支援しなければならない。IOCの役割がいくつかのメディアによって誇張された傾向がある。

五輪団体ユニフォーム、北朝鮮側の着用拒否が予想

開・閉会式に共同入場することにした南北参加団が着用する五輪団体ユニホームにも議論がある。ユニホームには韓国国旗と国歌が刻まれているため、北朝鮮側が着用拒否の意思を示す可能性が大きいと専門家らは予測する。

今回のユニフォームの製作には米国のラルフ・ローレン氏、イタリアのジョルジオ・アルマーニ氏など世界的なデザイナーが参加しており、北朝鮮の受け入れの拒否が想定される。

韓国内の保守系専門家は「食べさせて寝させて、服も作ってあげるのに、それを拒否した場合に備えて、緊急会議まで開かれている」とムンジェイン政権の過度な便宜供与を批判している。

国際オリンピック委員会(IOC)は最近、20日に北朝鮮傘下の平昌オリンピックをめぐる4者協議を、スイス・ローザンヌのIOC本部で開催すると発表した。IOCのバッハ会長が議長を務める協議には、平昌五輪組織委員会、北朝鮮政府代表、南北両国のオリンピック委員会らが出席する。北朝鮮選手、国旗、国歌、公式ユニホーム、開会式の合同入場などについて話し合うという。

(翻訳編集/齊潤)

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