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焦点:米シェール人気に対抗、海底油田開発の「新たな波」

2018年02月21日 22時00分
2月14日、ロイヤル・ダッチ・シェルが英国・北海沖の遠く離れた一角で石油・天然ガス開発を進める「ペンギン油田」は、深海油田の新たな開発方針を象徴している。それは「低コストでシンプルに」だ。写真は2014年、ロイヤル・ダッチ・シェルの原油入りドラム缶(2018年 ロイター/Sergei Karpukhin)

Ron Bousso

[ロンドン 14日 ロイター] - ロイヤル・ダッチ・シェル<RDSa.L>が英国・北海沖の遠く離れた一角で石油・天然ガス開発を進める「ペンギン油田」は、深海油田の新たな開発方針を象徴している。それは「低コストでシンプルに」だ。

2014─16年の原油価格暴落に伴い停滞していた深海油田プロジェクトだが、米国シェール油田の生産量急増への対抗馬として再び脚光を集めるようになっている。

深海油田における今年最初の本格的な新規プロジェクトとなる「ペンギン」は、水深165メートルの海底に8本の新たな油井を掘削することで、44年の歴史を持つ油田を再生し、新設する生産プラットフォームに接続する。

2021年に竣工予定の「ペンギン」は、総工費が約10億ドル(約1060億円)。2010年代前半の巨大プロジェクトの平均コストと比べればごくわずかであり、生産量は石油換算で4万5000バレル/日と控えめだ。

「より低コストでの開発機会に、われわれが着手しつつあるという、新たな一例だ」とシェルの石油・ガス生産部門を率いるアンディ・ブラウン氏は語る。

シェル同様、エクソンモービル<XOM.N>、トタル<TOTF.PA>、BP<BP.L>といった他の石油会社も近年になって、海上に鋼鉄製プラットフォームを展開する海底油田の設計手法を、根本的に変更している。その狙いは、建設をシンプルかつ迅速にし、パーミアン盆地(米テキサス州)などのシェール油田の経済性に対抗できるようにすることだ。

石油事業の経営幹部が、2010年代前半に比べると半値以下となる原油価格、1バレル約50ドルでも利益を上げられる自信を深める中で、各社の取締役会が承認するプロジェクト件数も増え始めている。現在の石油価格は1バレル60ドル前後だ。

バーンスタインのアナリストは、新規油田プロジェクトの承認件数は、昨年の29件から、今年は約40件に達すると予測。少なくとも1990年以降で最も低水準だった2016年は14件だった。

エクソン、シェル、BPといった企業は新規プロジェクトに関して厳しいコスト上限を定めており、たとえ原油価格が1バレル40ドルであっても利益が出るよう求めている。電気自動車の台頭により、今後の展望が不透明化しても対応できるようにするためだ。

バーンスタインによれば、結果的に、ほとんどの新規プロジェクトでは、生産規模が石油換算で平均4万2000バレル/日と、従来の油田に比べてかなり小規模になっているという。ちなみに昨年承認されたプロジェクトの生産規模は平均6万9000バレル/日だった。

BPの石油・ガス生産部門を率いるバーナード・ルーニー氏は1月、ロイターに対し「長期的にはさらに多くの海底油田が開発される」と語った。BPは今年、セネガルやモーリタニア、オマーン、アゼルバイジャンなどにおける多数のプロジェクトを承認する見込みだという。

より低コストのプロジェクト実現には、いわゆる「インフィル・ドリリング(間掘り)」によって単純な構造の油井を掘削して既存のプラットフォームやパイプラインに接続する、特注装置の代わりに汎用設備を採用する、膨大なデータを処理して油田建設を合理化する、といった手法が使われる。

過去3年間で、掘削リグや補修に要するコストが場合によっては最大8割低下したことも、プロジェクトのコスト削減を加速している。

「柔軟性、収益性という点で、コスト削減の大半はパーミアン盆地から得られた成果だ。しかし実のところ、インフィル・ドリリングはここ数十年、非常に大きな収益源となってきた」とルーニー氏は言う。

<深海油田プロジェクト>

 

ただし、どんな原則にも例外がつきものだ。非常に大規模で巨額の投資を必要とする油田も一部あるが、それでもなお、原油価格が低くても収益性を保っている。

ジェファリーズのアナリストによれば、今年承認される見込みのプロジェクトのうち最も規模の大きいものとしては、ペトロブラス<PETR4.SA>によるブラジルの「リブラ2」(総工費100億ドル)、シェルによるナイジェリアの「ボンガ・サウスウェスト」(122億ドル)、エクソンによるモザンビークでの天然ガスプロジェクト(300億ドル)などがある。

シェール生産ばかりが話題になるが、世界全体の原油供給量約9800万バレル/日のうちシェールの比率が約7%にとどまっているのに対し、海底油田は4分の1以上を占めている。

場合によっては1基のプラットフォームで15万バレル/日の生産が可能となる非常に高度なプロジェクトが大規模展開されたことで、ここ数十年のあいだに、世界のエネルギー需要の急増に対応するための新たな資源が利用できるようになった。

だが深海油田プロジェクトのなかには、巨額のコスト超過と工期遅延に悩まされたものもある。最も有名な例が、カザフスタンの「カシャガン」油田だ。100億ドルを予定していた工費は600億ドルにも膨れあがり、後にその名前になぞらえて「cash-all-gone(金食い虫)」と揶揄(やゆ)されるに至った。

だが何年にもわたるコスト削減を経て、石油企業は新たな資源開発を急ぐ必要がある。年10%に達することもある油田生産量の自然減を相殺するためだ。

「構成を考えると、海底油田、それも深海油田が必要になる。世界規模で見られる減少率を補うには、地上の油田だけでは十分ではない」とエネルギー関連サービス企業ベーカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ経営最高責任者(CEO)はロイターに語った。

上場している石油会社としては世界首位のエクソンは、昨年、ガイアナのリザ油田開発にゴーサインを出した。石油価格が1バレル40ドルでも、同プロジェクトは2桁の利益率を確保できると同社は語る。

石油メジャー各社はここ数カ月、ガイアナ(エクソン)、北海(BP)、メキシコ湾(シェル)、キプロス沖(エニとトタル)など、重要な油層をいくつも発見している。これらを開発できるかどうかは、コストを低く抑えられるか否かにかかっている。

「規律が必要だ。この部分では、われわれの決意は固い。原油価格が回復してきたから、開発を拡大しよう、コストもかけよう、という話にはならない」とBPのルーニー氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

 

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