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北京冬季五輪

雪のない山、半干ばつ地区…どうやって北京で冬季五輪を開催?IOCが心配

2018年03月04日 13時00分
2018年2月24日、北京北部のゲレンデで、スノーボードを楽しむ人々(GREG BAKER/AFP/Getty Images)

 フィギュアの羽生結弦選手、スピードスケートの高木那奈・美帆姉妹、小平奈緒選手の活躍が華々しく、過去最多メダル数を記録した韓国平昌オリンピックが閉幕した。関係者はすでに次なる北京大会に目を向けているはず。開催地・北京の環境が気になるところだが、国際オリンピック委員会(IOC)は、周辺の河北地域は降雪量がわずかで、さらに半干ばつ地域であるとして、競技環境を懸念している。

 IOCは2015年8月31日、クアラルンプールで開いた総会で、2022年冬季オリンピック開催地を中国・北京に決定したと発表した。北京は2008年の夏季五輪開催地でもあり、夏冬両大会が同一都市で開催されるのはオリンピック史上初めて。五輪は2018年平昌オリンピック(韓国)、2020年東京オリンピック(日本)に続き、3大会連続で東アジアでの開催となる。

 しかし、2008年北京夏季大会の開催は、「平和の祭典」との五輪憲章に背くとして、中国共産党による弾圧を受けるチベット、ウイグル、信仰団体や民主活動家、人権擁護の各団体や個人が抗議し、開催の反対を呼びかけた。チベットのダライ・ラマ13世と親交のあるアメリカの俳優のリチャード・ギアも映画の記者会見で、北京五輪のボイコットを訴えた。

 また、冬季には石炭による集中暖房システムや、盆地形による大気の停滞で、北京・河北は大気汚染がひどくなり、選手たちの健康に危害をもたらすとの懸念もある。実際、2008年五輪では合宿地として、欧米勢を中心に約25カ国が日本での最終調整を行った。大気汚染についてはIOC医事委員長が「健康に深刻な問題を引き起こすことはない」と疑念を打ち消す発言をしている。

2017年冬、可視範囲は500メートルという北京の深刻な大気汚染レベル(ネット写真)

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降雪量少なすぎる北京冬季五輪 IOC「完全に人工雪に頼ることになる」

 これらの大気汚染や人権問題など、北京開催に懸念されている複数の問題のうち、IOCが最も心配しているのは、冬季大会にもかかわらず「雪がない」ことだ。会場予定地の延慶の平均積雪量はわずか5センチで、一番少ない積雪記録は1センチ。1998年以後、降水量は減少の一途をたどり、昨年の年間降水量400~500ミリで「半干ばつ地区」となっている。

 

 北京冬季五輪では、フィギュアスケートやカーリングなど氷上競技を北京市中心部で、アルペンやボブスレーなど雪上競技は市中心から90キロ離れた延慶と160キロ離れた張家口で開かれる予定だ。

北京冬季五輪の会場となる予定の張家口、延慶、北京市内と各種目。オリンピック開閉会式は、2008年でも使用された北京の鳥の巣スタジアムで挙行予定(大紀元資料室)

 中国のオリンピック申請委員会は競技場に近い雲州ダムから水を引き、人工雪を造って不足分に充当する計画だが、国営メディア・新華網でさえも数年前、人工雪は水資源の浪費であり、干ばつをさらに深刻化させると指摘している。また、パラリンピック開催時期にはすでに春季に入り、気候が温暖になるため、競技環境は劣化することが見込まれている。

 衛星放送・新唐人テレビが伝える、中国スキー協会が示す北京のスキー場の調査データによると、人工雪に使われる地下水の回収率は40%程度で、地域の干ばつ問題が深刻化するという。また、人工造雪は植生に対しても影響をもたらすと、生態専門家は指摘している。

「張家口と延慶地帯は、年間降雪量が少なく、大会の開催には完全に人工雪に頼ることになる」とIOCは6月の評価報告書で指摘した。当局はその土地になじまない人工雪の質の悪さは、競技者に影響を与える可能性がある。また、「天然の雪の不足は、会場の景観としても美しくないだろう」とIOCは同書に加えている。

 中国の環境活動家は、人工雪の問題は北京冬季オリンピック開催だけに留まらないと心配している。北京のオリンピック申請委員会は「持続発展が可能な冬季五輪」を掲げ、大会終了後も雪上競技の練習場、一般スキー客への開放を計画しているという。つまり、毎年人工雪を降らせることになる。

 環境保護活動家・張峻峰さんは新唐人テレビの取材に対し、「現地の水資源の量では、(雪上競技)産業の運営と発展を支えるのは無理だ。長期的に見れば、生態環境に大きな影響を及ぼす」と懸念を示した。

 2022年冬季五輪招致レースは、北京とアルマトイ(カザフスタン)の一騎打ちが早くから判明していた。北米や欧州の候補地、例えばオスロやストックホルム、ミュンヘン、クラクフ(ポーランド)は経済的な理由や国民の支持が得られなかったにより、昨年候補から降りた。

「IOCにとって同オリンピックの開催地レースは残念なものだったに違いない。なぜなら、民主主義的な政治国が次々と招致レースから離脱したからだ」と、ニュースサイト、ビジネスインサイダーのスポーツ編集者トニー・マンフレッド氏は伝えている。

 中国当局にとって2008年夏季大会と同様、世界的な存在感を示すという政治的意味で五輪開催は大きな価値がある。史上初の夏冬同都市開催という名誉もある。そのため、環境が犠牲になっても、IOCも評価書で認める「北京の安定した財政力」で補って開催させたい意向だ。習近平国家主席は31日、IOC会長に感謝の意を示すメッセージを送った。

 北京冬季オリンピックの開催期間は、旧正月を含む22年2月4日~20日に予定されているが、冬季の北京では石炭暖房により深刻化する大気汚染も、選手の体調へ影響を与えかねない。パラリンピックは3月4日~13日で春季に差し掛かり、干ばつと温暖な気候が懸念されている。

北京冬季オリンピック会場になる予定の延慶、2009年2月撮影。110日間雨が降らなかったため、降雨のためのミサイル発射準備風景 (China Photos/Getty Images)

(編集・佐渡道世)

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