海自が独自タンカー取得へ、沖縄基地の給油強化=関係者

[東京 5日 ロイター] – 海上自衛隊が沖縄本島の補給基地への給油体制を増強するため、独自の石油タンカーの取得を検討していることがわかった。東シナ海における中国海軍の活動拡大を受け、海自艦が周辺海域で監視任務を増やしていることに対応する。複数の政府関係者が明らかにした。

取得を検討しているのは、積載量5000キロリットル級のタンカー1隻。日本本土の海自基地から、南西諸島唯一の海自の補給拠点である沖縄基地隊(沖縄県うるま市)へ、海自艦の燃料である軽油を輸送することを検討している。2019年4月から始まる5カ年の中期防衛力整備計画で調達したい考え。

背景にあるのは、中国海軍の動向を監視する海自艦の任務の増加。かねてから東シナ海への進出を強めてきた中国軍艦の活動は、今では南方へ拡大している。沖縄本島と宮古島の間の国際海峡を通り、訓練などのために西太平洋へ抜ける頻度が高まっている。

「沖縄基地隊では寄港する海自艦の数が増え、仕事量が3倍、4倍になっている」と、関係者の1人は言う。「佐世保基地(長崎県佐世保市)まで帰ると時間がもったいないので、沖縄で補給して再び東シナ海や、この海域で活動している」と話す。

現状、海自の基地が燃料の補給を発注してから届くまでには2カ月かかる。日本本土にある基地は陸路で燃料を融通し合えるが、民間タンカーで運ばれてくる沖縄基地隊は機動的に軽油を補給することが困難で、海自艦の寄港が増えた今、次の補給までに底をつくこともあるという。

タンカーの取得には数十億円を見込んでおり、運用には10─20人程度の人員が必要になる。硫黄島へ燃料を運ぶために使うことも想定している。

日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺を1月中旬に潜航した中国の原子力潜水艦のように、東シナ海で長期間活動する中国艦艇も増えている。護衛艦が足りずに、掃海艇や訓練支援艦を警戒監視に派遣することもある。

 

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)

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