THE EPOCH TIMES

1強にこだわる習近平、胡錦涛の二の舞を危惧か

2018年03月07日 14時00分

 時事評論員の李林一氏は、2012年に最高権力者になった習近平氏は、鄧小平が確立した3つの不文律を次々と破った、との見解を示した。一つ目は次の次の後継者指名制度。二つ目は国家主席の任期制限制度。三つ目は集団指導制度。

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 三つ目の集団指導体制とは、最高指導部と位置付けされる中国共産党中央政治局常務委員(7人或いは9人)が、重要政策を多数決で決定するとの体制だ。鄧小平が、文化大革命を引き起こした毛沢東の個人崇拝と独裁政治の教訓から、集団指導体制を定めた。

 また、各中央政治局常務委員はそれぞれの分野を主管し、互いに干渉しないのが基本だ。たとえば、党の総書記が国家主席、党中央軍事委員会主席を兼務し、政府と軍を掌握する。他の常務委員は、国務院総理、全人代常務委員会委員長、中国共産党中央規律検査委員会書記に任命され、その分野のトップとなる。この分業協力の仕組みを「九龍治水」と呼ぶ。

 「九龍治水」では、権力の過度の集中を回避できるメリットがある一方、それぞれ独立王国となり、最高指導者の指示が確実に執行されないデメリットもある。さらに、複数の常務委員が党内の同派閥に属し、勢力が強ければ、党の総書記の地位を脅かしかねない。

 2002年の党大会で、胡錦涛が党総書記に就任した。しかし、前任者の江沢民は院政を敷き、指導権を手放さなかった。江沢民の意向で、胡錦涛氏の1期目政権では中央政治局常務委員の人数をいままでの7人から9人に増やした。9人のうち、胡錦涛氏と温家宝氏を除けば、残りの7人はすべて江沢民派の要員で、最高指導部は江沢民派の意のままに操られていた。10年以上「(胡錦涛氏らの)政令が中南海(党の指導部)から出たことがない」との状況が続いた。

 江沢民は04年まで、党中央軍事委員会主席の職にとどまり、軍を掌握した。

 2012年の党大会で、胡錦涛氏は政界から引退し、軍と政府の全権を習近平氏に明け渡した。この党大会で、中央政治局常務委員の人数は再び9人からに7人に戻された。7人のうち、習と李克強、王岐山が習近平陣営、張徳江、劉雲山、張高麗は江沢民陣営、そして派閥色の薄い兪正声。

 在米中国経済専門家の何清漣氏が2月26日、自身のブログに掲載した評論記事では、習近平氏は1期目で、反腐敗運動や軍改革などを通じて、権力集中を図ってきた、と指摘した。

 習近平氏が一強体制にこだわる理由は、「九龍治水」の分業体制を続けると、胡錦涛氏の二の舞になると危惧していたからだと分析する専門家もいる。

 2017年秋の党大会で選出された中央政治局常務委員は、ほとんど習氏の側近だ。

 年齢的理由で昨年の党大会で最高指導部から退いた王岐山氏は今回の全人代で国家副主席に任命される見通しだ。かつての右腕は政界復帰を果たし、「8人目の常務委員」と呼ばれるほど実権を握り、「習王体制」は今後も継続されるとみられる。長らく中国政治を牛耳てきた集団指導体制の弱体化は避けられず、習近平氏への権力集中が一段と加速化される。しかし、一強となった習近平氏はより大きな責任を負うことになる。今後の政権運営でどのようにカジを切るかに注目したい。

(翻訳編集・張哲)

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